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てんかんと仕事の両立を実現するポイント|発作時の職場対応マニュアル

てんかんと仕事の両立を実現するポイント|発作時の職場対応マニュアル

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

てんかんがあっても適切な治療と職場の理解があれば、充実した職業生活を送ることができます。本記事では、てんかんの基礎知識から仕事選びのポイント、発作時の対応方法、活用できる支援制度まで、てんかんと仕事の両立に役立つ情報を網羅的に解説しています。自分らしく働くためのヒントが満載です。

てんかんと仕事の両立:本人向けアドバイス

てんかんがあっても、適切な治療と自己管理によって、多くの方が充実した職業生活を送ることが可能です。ここでは、てんかんと仕事を両立するための具体的なアドバイスをご紹介します。

自分の症状を理解し伝える準備をする

てんかんと仕事を両立する第一歩は、自分自身の症状をしっかり理解することです。発作の種類や頻度、誘発要因、薬の副作用などを把握し、必要な配慮事項をリストアップしておきましょう。

てんかん発作の症状は人それぞれ異なります。自分の発作の特徴、起こりやすい状況、薬の効果などを理解し記録しておくと、医師との相談や職場での説明がスムーズになります。

神経内科医

就職・転職活動での症状の伝え方

就職活動では、てんかんについてどう伝えるかが重要です。オープン就労(障害を開示)かクローズ就労(開示しない)かを自分の状況に応じて選びましょう。開示する場合は、症状の安定性やこれまでの経験から、どのように仕事と両立してきたかを具体的に伝えると効果的です。

職場での発作対応プランの作成

職場で安心して働くためには、発作が起きた場合の対応プランを準備しておきましょう。発作の症状や持続時間、周囲にしてほしいこと、緊急連絡先などを記載し、必要に応じて上司や信頼できる同僚と共有します。

発作対応プラン例 対応内容
発作時
  • 周囲の危険物を取り除く
  • 無理に動きを抑えない
発作後
  • 静かな環境で休ませる
  • 状態を確認し、必要なら早退の判断

ストレス管理と体調維持のコツ

てんかん発作はストレスや疲労、睡眠不足などで誘発されることがあります。規則正しい生活習慣の維持が重要です。

生活リズムの安定化

  • 毎日同じ時間に起床・就寝する
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • バランスの良い食事を心がける

服薬管理のポイント

  • 医師の指示通りに服用する
  • 飲み忘れ防止のアラームを設定
  • 職場にも予備の薬を保管

てんかんがあっても、自分の状態を理解し適切に管理することで、多くの仕事に従事できます。体調の変化に敏感になり、無理をせず必要なときには休息を取ることを恥じないでください。自己管理能力は、プロとしての大切な資質です。

産業医

てんかんのある人に適した仕事と働き方

てんかんがあっても、症状のコントロールができていれば、多くの職種で活躍することが可能です。ここでは、適した仕事の特徴や柔軟な働き方について紹介します。

向いている職種・業務内容

てんかんのある方が安心して働きやすい職種には、以下のような特徴があります。症状の程度や治療状況に合わせて選ぶことが大切です。

  • デスクワーク中心の仕事(事務、経理、総務など)
  • パソコンを使った業務(データ入力、プログラミング、Webデザインなど)
  • 安全な環境での軽作業(商品の検品、組立、包装など)

てんかんの方には、デスクワークが向いていると言われますが、それは万が一発作が起きても身体的なリスクが少ないからです。実際には、多くの方が適切な治療を受けながら、幅広い職種で活躍されています。

就労支援コンサルタント

避けた方が良い作業環境と職種

てんかんの症状によっては、安全面から避けた方が良い職種があります。

  • 航空機のパイロット、船員(法律上の制限あり)
  • 運転業務(タクシー、バス、トラックなどの運転手)
  • 高所作業(建設現場、電気工事など)
  • 危険な機械操作(プレス機、切断機など)

フレキシブルな働き方のオプション

柔軟な働き方ができる環境は、てんかんのある方にとって大きなメリットがあります。

在宅ワーク・リモートワーク

通勤の負担がなく、自分のペースで働ける在宅勤務は、特に体調管理がしやすい働き方です。

  • ITエンジニア・プログラマー
  • Webライター・編集者
  • データ入力・事務処理

フレックスタイム制や時短勤務

勤務時間を調整できる制度は、体調管理や通院との両立に役立ちます。

診断直後は不安でしたが、会社に状況を伝え、勤務時間を柔軟にしてもらえました。集中して働ける環境があることで、むしろ生産性が上がりました。大切なのは自分の状態を理解し、必要な配慮を求める勇気を持つことです。

Aさん(30代・ITエンジニア)

てんかんがあっても自分に合った働き方を見つけることで、充実した職業生活を送ることが可能です。

大切なのは、自分の症状を理解し、適切な環境で能力を発揮できる仕事を選ぶことです。

職場での理解促進と配慮のポイント

てんかんのある方が安心して働くためには、周囲の理解と適切な配慮が欠かせません。このセクションでは、職場でのてんかんに関する理解を促進するための方法や、具体的な配慮について解説します。

企業が実施できる合理的配慮の例

「合理的配慮」とは、障害のある方が他の方と平等に働くために必要な配慮のことです。てんかんのある方への配慮には以下のようなものがあります。

配慮の種類 具体的な内容
勤務時間・休憩の配慮
  • 通院のための休暇取得への配慮
  • 規則的な休憩時間の確保
  • フレックスタイム制の導入
業務内容の調整
  • 危険を伴う作業の制限
  • 夜勤や交代制勤務の調整
作業環境の調整
  • 光の点滅や強い光を避ける環境設定
  • 休憩できる静かな場所の確保

同僚への説明会の開き方

職場の理解を深めるための説明会を開催する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 本人の同意を必ず得る(何をどこまで伝えるか確認)
  • 専門知識を持つ人の協力を依頼する
  • てんかんの基本知識と発作時の対応方法を説明する
  • プライバシーへの配慮の重要性を強調する

説明会では「てんかんがある人」という印象付けよりも、「○○さんの特性と必要なサポート」という形で伝えると良いでしょう。病名よりも、具体的な状況と対応方法に焦点を当てることで、余計な不安や偏見を生まず、実用的な理解が促進されます。

産業カウンセラー

職場環境の安全対策

発作時の安全を確保するため、以下のような環境整備を検討しましょう。

  • 机や家具の角にクッション材を取り付ける
  • 通路に障害物を置かない
  • 滑りにくい床材を使用する
  • 発作時に頭を守れるよう、デスクの配置を工夫する

配慮事例:企業の取り組み

IT企業Aでは、てんかんのある社員のために完全フレックスタイム制の導入や在宅勤務の選択肢拡大、発作対応マニュアルのデジタル化と共有などを実施し、長期的な就労継続を実現しています。

当初は「特別扱い」を心配していましたが、配慮はむしろ職場全体の改善につながりました。発作時のマニュアルは他の緊急時にも応用でき、写真付き作業手順書は新人研修にも活用されています。てんかんのある方への配慮が、結果的に全従業員の働きやすさにつながったのです。

人事部長(製造業)

てんかんのある方が活用できる支援制度

てんかんのある方が働くうえでは、様々な公的支援制度や民間のサービスを活用することで、より安定した職業生活を送ることができます。このセクションでは、主な支援制度やサービスを紹介します。

障害者雇用制度の活用方法

てんかんのある方は、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳など)を取得することで、障害者雇用制度を利用できます。手帳取得の流れは、主治医の診断書をもとに市区町村に申請するというものです。

手帳取得を悩む方は多いですが、「支援を受けるための道具」と考えるとよいでしょう。手帳があることで就労支援サービスを利用しやすくなったり、職場での合理的配慮を受けやすくなったりするメリットがあります。

障害者職業カウンセラー

障害者雇用枠での就職

障害者手帳を持っていると、企業の障害者雇用枠での応募が可能になります。障害特性に配慮された職場環境や、業務内容・勤務時間などの調整が受けやすくなります。

就労支援サービス・機関の紹介

てんかんのある方の就職や職場定着をサポートする様々な支援サービスがあります。

  • ハローワーク:障害者専門窓口での求人紹介や職業相談
  • 障害者就業・生活支援センター:就労と生活の両面から支援
  • 就労移行支援事業所:職業訓練や就職活動のサポート(原則2年間)
  • 障害者職業センター:職業評価やジョブコーチ支援を提供

就労移行支援は、いきなり就職するのに不安がある方や、しばらく働いていなかった方にとって非常に有効です。スキルアップはもちろん、体力や集中力の向上、生活リズムの安定など、働くための基礎力を養えます。

就労移行支援事業所スタッフ

医療費助成と通院の配慮

てんかんの治療を継続しながら働くためには、医療費の負担軽減と通院しやすい環境づくりが重要です。

自立支援医療(精神通院医療)

てんかんは自立支援医療の対象となっており、医療費の自己負担額が原則1割になります。居住地の市区町村で申請でき、原則1年ごとの更新が必要です。

通院への配慮

治療継続のためには、通院時間を確保できる勤務体系や定期通院日の固定化など、職場での配慮が重要です。厚生労働省の「治療と仕事の両立支援ガイドライン」も活用できます。

これらの支援制度やサービスを組み合わせることで、てんかんがあっても無理なく長く働き続けることができます。

自分の状況に合わせて、必要な支援を積極的に活用しましょう。

Q&A:てんかんと仕事に関するよくある質問

てんかんと仕事の両立について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。具体的な疑問や不安の解消にお役立てください。

就職・面接時の症状の伝え方

Q: てんかんがあることを就職面接で伝えるべきでしょうか?

求職者Aさん

A: てんかんの開示は義務ではなく、自身で判断できます。開示するメリットは適切な配慮を受けられること、デメリットは誤解や偏見が生じる可能性があることです。開示する場合は、症状の安定状況や必要な配慮を具体的に説明し、これまでの経験や実績もアピールするとよいでしょう。

発作が起きた後の職場復帰について

Q: 職場で初めて発作が起きてしまいました。どのように職場に戻れば良いでしょうか?

会社員Cさん

A: 復帰前に主治医に相談し、上司や人事担当者と面談して状況を説明しましょう。必要な配慮や発作時の対応について具体的に伝え、可能であれば短時間勤務から段階的に復帰するのがおすすめです。産業医や保健師に仲介役を依頼するのも一つの方法です。

運転や出張に関する注意点

Q: てんかんがあっても自動車の運転はできますか?

営業職Eさん

A: 「発作が過去2年間なく、今後も発作が起こるおそれがないと医師が認めた場合」など、一定の条件を満たせば運転免許の取得・更新は可能です。仕事で運転が必要な場合は、主治医に相談の上、会社と代替手段について話し合いましょう。

キャリアアップの可能性について

Q: てんかんがあっても昇進やキャリアアップは可能でしょうか?

会社員Gさん

A: てんかんがあることは、キャリアアップの妨げにはなりません。症状がコントロールされていれば、管理職を含む様々なポジションで活躍できます。自分の強みや専門性を磨き、体調管理を徹底し、必要な配慮を具体的に伝えられるようにすることが大切です。

Q: 職場の健康診断でてんかんのことを申告する必要がありますか?

会社員Iさん

A: 健康診断での申告は、安全な職場環境確保のために重要です。ただし、これらの情報は医療情報として厳重に管理されるべきものです。基本的には産業医や保健師のみが閲覧し、会社側には就業上の配慮事項のみが伝えられるのが一般的です。

てんかんとは?基本知識と職場で知っておくべきこと

てんかんは意外と身近な疾患ですが、正しく理解されていないことも多いです。ここでは基礎知識と職場で知っておくべき重要な情報を解説します。

てんかんの症状と種類

てんかんは、脳の神経細胞の一時的な異常な電気活動によって引き起こされる慢性的な脳の疾患です。日本には約100万人(人口の約1%)のてんかん患者がいると推定されています。

てんかんとは、脳の神経細胞が過剰な電気活動を起こすことで発生する疾患です。発作はほとんどの場合数秒間から数分間で終わりますが、時には数時間続く場合もあります。

神経内科医

てんかん発作の主な種類

発作の種類 特徴
部分発作
  • 単純部分発作:意識は保たれる。手足の痙攣、感覚異常など
  • 複雑部分発作:意識が薄れる。自動症(無意識の動作)など
全般発作
  • 強直間代発作:いわゆる「けいれん発作」。全身が硬直後けいれん
  • 欠神発作:短時間意識が途切れる。動作が止まる

発作のタイプと仕事への影響

てんかん発作のタイプや頻度によって、仕事への影響度は異なります。重要なのは、てんかんのある方の約80%は適切な治療によって発作がコントロールできているという点です。

てんかんに関する誤解と正しい理解

てんかんについては、様々な誤解や偏見があります。

  • てんかんは精神疾患ではなく、神経系の疾患です
  • 発作中に物を口に入れるのは危険です。側臥位にして気道確保を
  • 多くの患者は知的能力に問題なく、一般の人と同様に働けます
  • 発作には様々な種類があり、全身けいれんを伴わないタイプも多いです

てんかんの治療と管理

てんかんの主な治療法は薬物療法です。約70%の患者は薬物治療で発作がコントロール可能です。職場での服薬管理は発作予防の鍵となります。

てんかん発作の主な誘発要因には、睡眠不足、過度なストレス、疲労、光刺激(一部の方のみ)、アルコールなどがあります。これらを避けることも重要です。

てんかんについて正しく理解することで、適切なサポート体制を整えることができます。

てんかんのある方も、適切な治療と環境があれば、多くの職種で能力を発揮できることを認識し、互いに尊重し合える職場づくりを目指しましょう。

発作時の職場対応マニュアル

てんかん発作が職場で起きた場合、適切な対応ができるよう準備しておくことが重要です。このセクションでは、発作のタイプ別の対応方法や緊急時の連絡体制について解説します。

発作が起きた時の同僚・上司の対応手順

てんかん発作は種類によって症状や対応方法が異なります。基本的には落ち着いて見守ることが重要です。

けいれん発作時の対応

対応のステップ 具体的な行動
1. 周囲の安全確保
  • 危険な物を取り除く
  • 頭部の下に柔らかい物を敷く
2. 安全な体勢にする
  • 発作が収まりはじめたら、横向きにする
  • 気道を確保する
3. 時間を計る
  • 発作の開始時間と持続時間を記録

けいれん発作を目の当たりにすると驚いてしまいますが、多くの場合は数分で自然に治まります。無理に押さえつけたり、口に物を入れたりせず、周囲の危険物を取り除いて見守ることが最も重要です。

救急救命士

意識が薄れる発作時の対応

欠神発作や複雑部分発作では、そっと見守り、危険な場所に行かないよう誘導します。無理に動きを止めようとせず、発作が終わるまで(通常1〜3分)そばにいましょう。

救急車を呼ぶべき状況

  • けいれん発作が5分以上続く
  • 意識が戻らないまま、再び発作が起きる
  • 発作による怪我がある
  • 初めての発作である

緊急時の連絡体制の整え方

てんかんのある方は、緊急連絡カードを携帯しておくと安心です。カードには氏名、てんかんの種類、服用中の薬、主治医と緊急連絡先、発作時の対応方法を記載します。

発作記録シートの活用法

発作が起きた場合、状況を記録しておくことで、本人の治療や今後の対応改善に役立ちます。日時、場所、発作前の状況、発作中の様子、対応内容、考えられる誘因などを記録しましょう。

記録は本人の同意を得て主治医と共有したり、職場環境の改善や対応手順の見直しに活用したりできます。個人の医療情報を含むため、取り扱いには十分な配慮が必要です。

まとめ:てんかんがあっても自分らしく働くために

てんかんがあっても、適切な治療と自己管理、職場での理解と配慮があれば、充実した職業生活を送ることが可能です。

就労成功の鍵は、医学的管理の継続、職場での適切な配慮、そして本人の積極的な姿勢です。自分の症状を理解し、必要な支援を求める勇気を持ちましょう。

てんかんは私の一部ですが、私そのものではありません。治療を続けながら自分のペースで働き方を工夫することで、好きな仕事を続けられています。大切なのは自分を信じ、必要なサポートを求める勇気を持つことです。

デザイナー(35歳)

てんかんがあっても、それぞれの個性と能力を活かした自分らしい働き方が可能です。互いの理解と尊重を深め、誰もが活躍できる職場づくりを目指しましょう。