新人支援員が最初につまずくポイントとは?
著者: フラカラ編集部
このコラムのまとめ
就労支援の新人支援員は、さまざまなポイントでつまずきを感じます。業務の負担や利用者とのコミュニケーションなど状況はまちまちですが、失敗しても「自分は支援員に向いていないのでは」と悩む必要はありません。つまずきは誰しもが経験する通過儀礼のようなものであり、ミスを活かして改善につなげれば、大きな成長が見込めます。今回は、新人支援員が最初につまずくポイントと、解決策を解説します。支援員の仕事に不安やつまずきを感じている人は、ぜひ参考にしてください。
つまづきを感じたときには、理由を洗い出して対策方法を考えよう
新人支援員がつまずきを感じたときには、理由を洗い出して対策方法を考えましょう。つまずきや不安の裏には必ず理由があり、同時に解決策も存在します。何が原因だったのかを考えずに仕事を進めていると悩みは尽きませんし、同じ失敗を繰り返す可能性も高くなってしまいます。
一方、はっきりとした理由がわかれば、対処法が立てられます。2度同じミスをしないように対処法を実行すれば、失敗も大切な経験へと変わりますよ。後輩ができて指導するときにも、その知見は大いに役立つでしょう。
次の項目からは、つまずきやすいポイント別に理由や解決方法を解説しているので、自分に当てはまるものや、今後起きそうな項目を参考にしてみてください。
支援の目的と支援員の役割が曖昧で判断に迷う
新人支援職員が最初につまづくことが多いのは、支援のゴールや自分の担当範囲についてです。以下でモデルケースを解説しているので、参考にしてみてください。
就労支援でどこまで支援員が担うべきか線引きできない
線引きでつまずくのは、支援員が何でも解決する役割だと無意識に思ってしまうからです。利用者の不安、企業の要望、家族や医療の事情が同時に入ると、優先順位と担当範囲が混ざりやすくなります。加えて断ることへの抵抗も重なり、特別対応が積み上がって支援範囲が広がり、記録や調整が追いつかなくなります。
解決策は、支援の目的と提供範囲を言葉にして共有すること。例えば、相談対応の時間帯と連絡手段、支援で扱うテーマと扱わないテーマを決めるのは効果的です。支援範囲の判断に迷ったら、利用者の相談は就労に直結する課題か、他職種や他機関の領域かを先輩に相談しましょう。
支援機関ごとの役割分担がわからず連携の出だしで遅れる
新人が連携の出だしで遅れるのは、支援機関ごとの役割分担を正確に把握していないうえに、利用者の課題が複数領域にまたがるケースでよく見られます。役割分担が曖昧だと、連絡の順番が定まらず、二重連絡や待ち時間が発生します。結果として利用者への説明がぶれ、企業対応も後手になりやすくなりがちです。
スムーズな連携を実現するためには、連携の地図を作っておくのが重要。頻出の相談テーマごとに主担当と協力先を整理し、連絡先・依頼目的・共有する情報の範囲あらかじめまとめておくだけでも、初動スピードが違います。もちろん、支援機関ごとの役割分担を知り、誰にでもわかりやすくアウトプットできるまで知識を深めるのも欠かせません。
雇用と福祉の制度が整理できず利用者や企業への説明に詰まる
新人支援員は、制度説明でもつまづきがちです。雇用と福祉は別の言葉と書式で動き、前提条件や例外も多くあります。利用者の困りごとと企業の要望が同時に来ると、1つの質問に複数の制度が絡みます。断片的な知識で対応をすると、何を優先して伝えるか決めにくくなり、曖昧なまま答える不安から説明が長くなって要点がぼやけます。
対策は、まずは制度をしっかりと理解しましょう。また、利用者と企業に正確に情報を伝える伝達能力も養う必要があります。自分の説明がわかりやすいかを確認するときは、先輩支援員に聞いてもらい、改善点を洗い出してもらうとスピーディにレベルを上げられますよ。
アセスメントが浅く支援方針と計画がブレる
新人支援員は経験が少ないため、評価・査定・分析といったアセスメントが浅くなることが多く、支援方針が定まらず計画がブレがちです。本項目では、初回面談で聞く順番、課題の言語化と目標設定の方法などを解説します。
初回面談で何をどの順番で聞くか決められない
新人支援員は、初回面談の質問の組み立てにつまづくケースがよくあります。早く役に立ちたい気持ちや、聞き漏れへの不安が同時に立ち上がると質問が散らかりがちで、重要な前提が抜けたり、面談の終わり方が曖昧になったりします。
新人支援員が面談を行うときは、事前にある程度面談の型を作っておくのがおすすめ。例えば、最初に面談の目的と時間配分、今日決めることを共有します。次に現在の生活と体調、働き方の希望を聞いていくなど、大まかな流れを決めておくとスムーズです。メモに面談の流れを書き出して、リストにチェックを入れていくのも効果があります。
就労課題を言語化できず目標設定が抽象的になる
就労課題を言語化できないのは、困りごとが気持ちや出来事の羅列にとどまり、仕事の場面で何が起きているかに翻訳できないからです。翻訳がうまくいかないと、頑張る、慣れるなど抽象的な目標を定めてしまい、支援の成果が現れているかが見えなくなります。
解決策は、課題を行動・場面・結果に分けて整理することです。いつ、どこで、何をしているときに、どんなつまずきが起き、どんな影響が出るかを確認し、具体例を集めてください。そのうえで、目標を設定します。例えば「遅刻を減らす」ではなく「起床から出発までの手順を固定し、週に何回守れたか」など、可能な限り抽象度を下げるとわかりやすく、効果も上がりやすい目標を設定できますよ。
利用者との関係づくりが難航する
利用者との関係づくりに悩むのも、新人支援員が直面するよくあるつまずきです。本項目では、利用者との距離感、体調や特性を踏まえた対応、面談における主導権などに関して解説します。
相談を受けすぎて距離感が近くなりすぎる
新人支援員が相談を受けすぎるのは、頼られることが支援の成果に見え、断る判断材料が揃っていないことが背景です。利用者の度重なる相談に対応を続けていると依存が形成され、連絡が特定の職員に集中します。また断ると関係が崩れるのではと頭をよぎり、ついつい無理に対応してしまうケースも多いのではないでしょうか。
相談を受けすぎていると感じたときには、連絡の窓口・手段・対応時間の調整が必要です。ただし、利用者に伝えずにいきなり返信の速度や頻度が下がったり、無下に断ったりすると反発を招いてしまいます。調整をするときには、利用者に個人の都合ではなく、ルールや運用上の対応変更である旨を丁寧に伝え、同意を得ましょう。
体調変動や特性への理解不足で支援が空回りする
利用者の体調変動や特性への理解不足で支援が空回りするのも、新人支援員がつまずきがちなポイントです。体調や特性を本人の意欲や努力不足として捉えやすく、体調や気持ちが変動する前兆や条件を把握できていないことが理由に挙げられます。
解決策としては、当然ながら利用者がどのような特性をもっていて、具体的にどんな体調の変化があるのかをしっかりと把握するのが重要です。例えば疲労のサイン、苦手な場面、復調させる手段などを細かい項目に分けて整理しましょう。体調変動のサインや不得意なことがあらかじめわかっていれば、利用者の変化にも気づきやすくなり、支援の質もあがります。
声かけや面談で主導権を握りすぎる。あるいは任せすぎてしまう
声をかける際や面談で支援員が主導権を握りすぎてしまうと、提案や指示が増えて利用者の気持ちがおざなりになります。一方、自立を尊重しようとして一任すると、利用者の努力任せになってしまい、十分な支援ができません。
重要なのは、場面に応じて主導権をバランスよく切り替えること。例えば面談時なら、今日の目的・扱うテーマ・目標やゴールなどの大枠を提示するときはこちらが主導権を握り、利用者が語るときには相手に会話の主導権を渡すようなイメージです。その際に、論点がずれたら再度こちらに主導権を戻して軌道修正しましょう。何かを決めるときには、2〜3つほど選択肢を用意し、利用者に選んでもらうのもよい方法です。
記録とチーム連携が追いつかず消耗してしまう
新人支援員は、慣れない記録やチームでの連携プレイが追いつかず、消耗してしまうのもよくあるつまずきです。ここでは、記録の時短と要点化、共有で事実と判断を分ける書き方、個人情報の扱いやセルフケアなどの解決策を解説します。
記録に時間がかかり支援時間を圧迫する
新人支援員が記録でつまずくのは、何を残すべきか基準がなく、ヌケを恐れて出来事を丸ごと書こうとするからです。また支援中に要点をメモするような余裕もないため、後に文章化したときに記憶が曖昧になったり、思い出す時間がかかったりしてしまいます。記録が遅れるほど事実と解釈が混ざり、支援方針の確認や引き継ぎも不安定になりがちです。
記録をスムーズに行うには、型を作っておくのがおすすめです。例えば日時・場所・内容の要点・利用者と合意した事項・次回までの行動や課題など記録項目を設定し、可能な限り簡潔に残すと決めておくと手早く記録できます。事業所によってフォーマットがある場合は、その記録方式に従いましょう。方式が一定であれば、繰り返すことで自然にスピードはアップしますよ。
ケース共有で事実と判断を分けて整理できない
ケース共有でつまずくのは、事実と判断を分けて整理していないケースがほとんどです。例えば利用者の遅刻が多い場合、遅刻は事実ですが「やる気がない」「努力不足」と評価するのは判断になります。ここを混同してしまうと、本当は体調不良や特性の問題で遅刻が頻発しているとしても、やる気がないから遅刻が多いと間違った断定をしがちです。
解決策は、事実と判断をしっかりと切り分けること。事実は、より具体的な表現まで落とし込むのが理想です。例えば遅刻なら週何回なのか、なぜ遅刻をするのかを深堀りします。そのうえで、導き出された遅刻の理由をもとにして対策を判断しましょう。
個人情報管理や自分のセルフケアが後回しになる
目の前の相談対応が連続し、確認や片付けがおろそかになると、個人情報の管理が甘くなります。利用者の個人情報が記載されたメモを持ち歩いたまま席を離れる、PCの画面を開いたままにするなど、小さなできごとでも積み重なると思わぬトラブルを招くケースがあります。また、新人支援員は疲労や悩みを解消する手段が乏しい場合が多く、日々の業務の疲れから集中力が落ちてしまい、支援の質が下がることも少なくありません。
個人情報の管理は、事業所の規定や先輩などに指示を仰ぎ、厳密に守りましょう。チェックリストのようなものを作成してすぐに確認できるようにしておくと、スムーズです。疲労の蓄積に関しては、休息も業務として認識するのが重要。休憩時間をしっかりと確保するのも大事な仕事の一環です。もし休憩時間を捻出できない場合は、少しの時間でも呼吸を整えたりストレッチを行ったりするなど、リラックスできる方法をいくつか試してみて、自分に合うものを摂り入れましょう。
企業対応と職場定着でつまずく
企業対応と利用者の職場定着は、双方のすり合わせが必要なため新人支援員には難しく感じられることがあります。本項目では期待と希望のすり合わせ、実習や同行で見る観察ポイント、定着支援を職場の支え合いにつなげる進め方を扱っているので、つまずきを感じる人は参考にしてみてください。
企業側の期待と利用者の希望のすり合わせが難しい
企業側の期待と利用者の希望のすり合わせでつまずくのは、企業が求める成果と、本人が必要とする配慮が分かれていて混乱しやすいのが理由です。企業は業務の正確さや勤務の安定を重視し、利用者は体調や特性を前提に働き方を考えます。支援員が利用者の代弁に寄ると企業の納得が薄れ、企業側に寄ると利用者には不信感がつのるでしょう。
円滑にすり合わせを行うには、企業・利用者双方の期待や希望をまとめてリスト化するのが有効です。例えば企業には仕事内容・評価基準・困る場面・対応できる範囲などを確認しましょう。利用者にはできる条件・難しい条件・疲労が出るサインと対処法・必要な配慮などを確認して、明文化しておくと共有もしやすくなります。
実習や面接同行で見るべき点が定まらない
新人支援員が実習や面接同行で見る点を絞れないのは、受け取る情報量が多く、何を見れば就労の見通しにつながるかの軸がまだ育っていないからです。例えば目の前の受け答えや雰囲気に引っ張られると、観察すべき重要な点が抜け落ちてしまいます。
解決策は、事前に観察項目を3つ程度に絞ること。最も重要な項目から優先順位をつけて、その点だけはしっかりと確認できるよう心がけましょう。慣れてきたら項目を増やしたり、柔軟に対応できる範囲を線引したりなどアレンジを加えると経験値も貯まりやすくなります。
定着支援を職場のナチュラルサポートへつなげられない
定着支援を職場のナチュラルサポートにつなげられないのも、新人支援員が直面するつまづきのひとつです。理由としては支援員が困りごとの受け皿になりすぎて、職場側の関わり方が育たないまま時間が過ぎてしまうケースが挙げられます。
解決策は、最初から企業内の役割と連絡ルートを設計し、支援員は橋渡しに徹することです。企業の窓口を1人決めてもらい、共有する情報と頻度を合意します。利用者とは相談の順番を決め、何か問題があったら、まずは上司や担当者に伝える練習を支援します。困りごとは個人の問題にせず、業務手順・指示の出し方・休憩の取り方など環境側の調整に落とし込めると、業務と支援が回りやすくなりますよ。
まとめ
今回は、新人支援員が最初につまずくポイントと、解決策を解説しました。経験が少ないうちは、誰しもが失敗するものです。そのため「自分は仕事ができないのではないか」と悩む心配はありません。失敗を経験にして、同じミスを繰り返さないように行動すれば、着実に成長できます。