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クローズ就労の徹底ガイド:メリット・デメリットと成功するためのポイント

クローズ就労の徹底ガイド:メリット・デメリットと成功するためのポイント

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

障害を開示せず一般枠で働く「クローズ就労」。給与や職種の選択肢が広がる一方で、配慮なしで働くプレッシャーや体調管理の難しさといったリスクも伴います。「給与をとるか、安心をとるか」で迷う方へ、クローズ就労のリアルなメリット・デメリットと、隠して長く働き続けるための自己管理術を解説。後悔しない選択のヒントをまとめました。

クローズ就労とは?基本的な意味と考え方

クローズ就労とは、自分の障害や病気を会社に開示せずに就労することです。障害者枠ではなく一般雇用の求人に応募し、障害について伝えないまま働く選択肢です。

障害を非開示で就労する選択肢

クローズ就労は、障害を持つ方の就労スタイルの一つです。障害の有無を企業に申告することは法的に義務付けられておらず、個人の判断に委ねられています。

クローズ就労とは、自身の障害を開示せずに一般雇用で働く働き方です。障害者雇用の枠で働くイメージが一般的かもしれませんが、一般雇用で働く選択肢もあります。

就労支援専門家

クローズ就労を選択する主な理由としては、偏見を避けたい、求人の選択肢を広げたい、キャリアアップや高い給与を目指したいといった背景があります。実際に、障害を持ちながら就職した方の約18%が障害を隠して一般企業に就職しています。

「給与・キャリア」か、「安心・配慮」か

クローズ就労(一般枠)と障害者雇用の違いは、単なる制度の違いではありません。「何を優先して、何を捨てるか」というライフスタイルの選択です。
クローズ就労は、職種の多さや高い給与が得られる代わりに、「健康な人と同じ成果」を求められる実力勝負の世界です。一方、障害者雇用は、給与や職種は限定されがちですが、「通院や体調不良への配慮」という強力なセーフティネットが約束されています。

どちらが正解ということはありません。「今はバリバリ稼ぎたいから一般枠」「まずは体調を安定させたいから障害者枠」というように、現在のあなたの体調と、人生の優先順位を天秤にかけて決めることが大切です。

無理をして一般枠で倒れてしまっては元も子もありません。「今の自分が、笑顔で続けられるのはどちらか?」という視点で選びましょう。

クローズ就労の5つのメリット

クローズ就労には障害者雇用と比較して、いくつかの明確なメリットがあります。障害を開示せずに働くことで得られる利点を見ていきましょう。

メリット①:給与水準が比較的高い

クローズ就労では一般枠で働くため、障害者雇用と比べて給与水準が高い傾向にあります。

厚生労働省の調査によると、精神障害者の月額平均給与は約14万9千円ですが、一般雇用の平均給与は約31万8千円と大きな差があります。

出典:

出典:

メリット②:求人数や職種の選択肢が豊富

一般求人の数は障害者枠に比べて圧倒的に多く、職種も多様です。これにより自分の希望や適性に合った仕事を見つけやすくなります。

メリット③:キャリアアップの機会が多い

一般枠では多様な業務経験や異動の機会が得られやすく、専門性の向上やスキルアップ、昇進の可能性が広がります。

メリット④:偏見を受けずに働ける

障害を開示しないことで、職場での偏見や特別扱いを避け、能力や実績で評価されやすくなります。

メリット⑤:能力で評価される可能性が高い

障害という属性ではなく、純粋な能力や実績、人間性で評価される可能性が高まり、自己実現や成長につながります。

「配慮」に頼らず生き残るための、職場選びの鉄則

「配慮」を頼れない分、「制度」を味方につける

クローズ就労で生き残るための鉄則は、「特別な配慮がなくても、最初から働きやすい環境」を選ぶことです。
あなたが個別に「助けて」と言わなくても、会社のルールとして「休むのが当たり前」になっている職場なら、障害を隠したまま長く働くことができます。

①「有休」と「休職」が、最強の命綱

体調を崩した時、クローズ就労では「病気なので配慮してください」とは言えません。頼りになるのは、嘘をつかずに堂々と休める「有給休暇」と、万が一の時の「休職制度」だけです。
求人票の「制度あり」の文字だけを信じてはいけません。実態を見極める必要があります。

面接で制度について聞く時は、「御社で長く働きたいと考えているのですが」という前置きを使いましょう。
「長く活躍するために、休職制度や有休の取得実績について伺いたいのですが」と聞けば、病気を疑われることなく、むしろ「定着意欲が高い人」というポジティブな印象を与えつつ、裏事情を探ることができますよ。

人事コンサルタント

②「メンタルヘルス」への投資は、ホワイト企業の証

「ストレスチェック」や「産業医面談」が形骸化しておらず、実際に機能している会社は、社員を使い捨てにしない「ホワイト企業」である可能性が高いです。
「社員の健康管理にコストをかけているか」は、そのまま「あなたが倒れた時に守ってくれるか」のバロメーターになります。

③「苦手」を避ける業務マッチング

配慮がない以上、苦手な業務が回ってきても断れません。
だからこそ、最初から「自分の特性と喧嘩しない業務」を選び抜く必要があります。「臨機応変が苦手ならルーティンワーク」「電話が苦手ならチャット中心」など、努力しなくてもこなせる業務内容を厳選しましょう。

④テレワークは「不調を隠す」ための隠れ蓑

フレックス制やテレワークは、単に便利なだけではありません。クローズ就労の方にとっては、「体調の悪さを周囲に悟られずにやり過ごすための隠れ蓑(カバー)」になります。
「朝起きられない」「顔色が悪い」といった不調を、出社せずにカバーできる環境は、長期就労の必須条件と言えます。

クローズ就労でも使える支援制度とサービス

クローズ就労を選択した場合でも、様々な支援制度やサービスを活用することができます。

職場には障害を開示せずとも、外部の支援を受けながら働き続けることが可能です。

就労移行支援でクローズ就労を目指す方法

就労移行支援事業所はクローズ就労を目指す方も利用可能です。障害者総合支援法では「通常の事業所に雇用されることが可能」な方が対象とされ、働き方についての制限はありません。

就労移行支援を利用してもクローズ就労を目指すことはできます。必ずしも障害を開示して働かないといけないわけではないのです。

就労移行支援事業所職員

外部の就労支援機関の利用方法

地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターでは、個人的な相談として支援を受けることができます。特にリワーク支援は休職からの復帰に役立ちます。

クローズでも活用できる公的支援

障害者手帳をお持ちの方は確定申告で障害者控除を受けられます。また、障害年金や自立支援医療も会社に知られることなく利用可能です。

プライベートでのサポート体制の構築

主治医や専門医との定期的な通院、カウンセリングの利用、当事者会への参加など、プライベートでのサポート体制を充実させることが重要です。

障害別・クローズ就労の実践ポイント

障害別・クローズ就労の実践ポイント

障害の種類や特性によって、クローズ就労での働き方や注意点は異なります。それぞれの障害特性に合わせた実践的なポイントを解説します。

発達障害でのクローズ就労:コミュニケーション戦略

発達障害の方は、業務指示を紙やメールで残してもらう、感覚過敏がある場合はイヤホンを活用するなどの工夫が効果的です。

私はASDですが、「メモや図で説明してもらえると理解しやすいタイプ」と伝えることで、障害を開示せずとも必要な配慮を得られています。

ASDを抱えながらクローズ就労している方

うつ病:有給休暇を「予防薬」として使う

クローズ就労では、倒れてから「休ませてください」と言うと、理由を追求されてしまいます。
大切なのは、限界が来る前に休む「戦略的撤退(予防的な有休取得)」です。「まだ頑張れる」という段階で、あえて半休や一日休を取り、ガソリンが切れる前に給油する習慣をつけましょう。

双極性障害:「絶好調」の時こそ、演技で隠す

最も警戒すべきは、うつ状態ではなく「軽躁(調子が良い)」状態です。
この時に「今の自分なら何でもできる!」と仕事を請け負いすぎると、後でうつ転した時に「なんでこんなこともできないの?」と信頼が崩壊します。
調子が良い時こそ、あえて「普段通りの70点の自分」を演じ、ブレーキを踏み続けることが、クローズで生き残る最大のコツです。

統合失調症:「ルーティン」を死守する防御戦

環境の変化に敏感な統合失調症の方にとって、不規則な生活は再発の引き金になります。
「飲み会は一次会で帰る」「残業は月〇時間まで」といった自分ルールを鉄の掟として守ってください。
薬は、あなたが社会で戦うための「鎧(よろい)」です。忙しくても服薬と睡眠だけは確保し、脳の興奮を鎮める時間を業務の一環としてスケジュールに組み込みましょう。

クローズ就労は違法なのか?法的な観点から解説

障害を隠して就職することは法的に違法ではありません。ここでは、クローズ就労の法的側面について解説します。

法的には問題がない理由

障害者雇用促進法では、企業に対して一定割合の障害者雇用を義務付けていますが、障害者個人に障害の開示を義務付ける規定はありません。

障害のある方が障害の有無を会社に申告することを義務づける法律はありません。クローズ就労自体は法的に問題ないと言えます。

労働問題専門弁護士

会社にバレた場合の対応と権利

障害をクローズにしていたことが発覚しても、それだけを理由に解雇することは「不当解雇」になる可能性が高いです。ただし、以下の場合は注意が必要です。

  • 採用時に障害について直接質問され、虚偽回答をした場合
  • 就業規則に「虚偽申告は解雇対象」と明記されている場合
  • 業務に著しい支障をきたしている場合

面接での質問と回答の法的考え方

面接で障害について聞かれた場合、可能な限り正直に答えることをお勧めします。虚偽の回答はトラブルの原因になる可能性があります。

「隠して働く」ことの代償(リアルなデメリット)

クローズ就労を選ぶことは、自由と引き換えに「全ての責任を一人で負う」という契約を結ぶことです。
給与や待遇といったメリットの裏側にある、具体的なリスク(代償)を直視しておきましょう。

①「苦手」を断れないプレッシャー(配慮なし)

最大のリスクは、どんなに苦手な業務が回ってきても「病気を理由に断れない」ことです。
障害者雇用なら「電話は苦手なので」と配慮を求められますが、クローズではそれは通用しません。「なぜできないの?」「やる気がないの?」という健常者基準の評価(詰め)に、言い訳なしで耐えなければならない厳しさがあります。

「配慮がない」というのは、単に優しくしてもらえないという意味ではありません。
「みんなと同じスピードで、同じ質の仕事を出し続けること」が絶対条件になる、いわば「丸腰で戦場に出る」ような状態だと覚悟する必要があります。

就労支援専門家

デメリット②:通院や体調管理が難しくなる

定期的な通院や体調管理のための休暇取得が説明しづらく、有給休暇を多く使うことになります。

デメリット③:支援機関と連携したサポートが得られない

就労支援機関と職場が連携した三者面談や業務調整などのサポートを受けることができません。

デメリット④:障害をバレたときの信頼問題

障害が明らかになった場合、「嘘をついていた」と捉えられ、信頼関係が損なわれる可能性があります。

デメリット⑤:ストレスや精神的負担が大きい

障害を隠し続けること自体がストレスとなり、症状悪化のリスクがあります。

デメリット⑥:障害者控除などの税制優遇を受けにくい

年末調整で障害者控除を申告すると会社に知られるため、確定申告が必要になります。

究極の選択:「隠して稼ぐ」か、「明かして守られる」か

クローズ就労とオープン就労。どちらが正解ということはありません。
これは、今のあなたが「キャリアと給与」を優先して戦いたいのか、それとも「心の安定と継続」を優先して守りに入りたいのか、というライフスタイルの選択です。

オープン就労は「嘘をつかない」ための契約

オープン就労(障害者雇用)の最大の壁は、やはり「給与水準」と「職種の限定」です。一般枠に比べると、どうしてもキャリアのスピードは緩やかになります。
しかし、その対価として得られるのは「体調が悪い時に、嘘をつかずに休める」という絶大な安心感です。「バレるかもしれない」という緊張感から解放されることは、メンタルヘルスにおいて最強の薬になります。

オープン就労は「キャリアの敗北」ではありません。「長く働き続けるための土台作り」です。
特に、通院が頻繁な方や、調子の波が読めない方にとっては、「給与を少し削ってでも、安全(配慮)を買う」という選択が、結果として長く収入を得ることにつながります。

就労支援カウンセラー

迷った時の「判断モノサシ」

どちらにするか決めきれない時は、以下の基準で自分に問いかけてみてください。

  • クローズ向き:「配慮がなくても、自力で体調をコントロールできる」「どうしてもやりたい職種がある」
  • オープン向き:「一人で抱え込むと潰れる自信がある」「給与よりも、細く長く勤めることを優先したい」

一生その働き方をする必要はありません。「今は体調優先でオープン」「自信がついたらクローズへ挑戦」など、ライフステージに合わせてカードを切り替えていきましょう。

両方の働き方を経験した人の体験談

実際に両方の働き方を経験した方々の体験を参考にすることで、より具体的な判断材料が得られます。

クローズ就労で障害がバレるケースと対策

クローズ就労では「障害がバレるのではないか」という不安がつきまといます。バレやすいケースとその対策について解説します。

自己申告や健康診断でバレるリスク

職場での雑談や健康診断が障害露見の原因になることがあります。注意すべき場面と対策を見てみましょう。

上司はもちろん、仲の良い同僚から会社の人事部に情報が漏れることは多いです。雑談でも障がいのことを話すと、いつのまにか会社に知られていたということがよくあります。

就労支援アドバイザー

税金関係(障害者控除など)での注意点

年末調整で障害者控除を申告すると経理や人事に知られる可能性があります。対策としては自分で確定申告を行うことが挙げられます。

障害年金や障害者手帳でバレるリスク

障害年金は非課税所得のため会社に知られることはありませんが、手帳の携帯や使用には注意が必要です。

傷病手当金でバレるリスク

傷病手当金の申請には事業主証明が必要なため、障害が知られる可能性があります。

万が一バレた場合の対処法

隠していた理由を誠実に説明し、業務への影響がないことを強調することが大切です。

「隠して働く」ことへの不安に答えるQ&A

クローズ就労を考える時、一番怖いのは「嘘をついている罪悪感」や「バレた時のリスク」ではないでしょうか。
ネットの一般論ではなく、現場のリアルな視点でお答えします。

Q1. クローズかオープンか、決めきれません。

一生その働き方で固定されるわけではありません。
「まずはクローズで挑戦し、辛かったらオープンへ切り替える」というルートも可能です。今のあなたの体力が「配慮なしでも持ちこたえられるか」を基準に、今の装備(働き方)を選んでみてください。

30代・発達障害当事者

Q2. 面接で言わないのは「経歴詐称」になりますか?

A. なりません。プライバシーを守る権利があります。

法的に、自分から病気を告知する義務はありません。言わなかったとしても「詐称」にはならないので安心してください。
ただし、聞かれたのに「病気はありません」と嘘をついたり、空白期間(療養期間)をごまかして架空の職歴を書いたりするのはNGです。「聞かれない限りは言わない(黙っている)」のが、クローズ就労の基本スタンスです。

Q3. 途中からカミングアウトしてもいいですか?

A. 可能ですが、「伝え方」に工夫が必要です。

「実は隠していました」と謝るのではなく、「最近体調に変化があり、長く働くために相談させてください」と、前向きな業務調整として切り出すのがコツです。
ただし、一度オープンにすると「腫れ物扱い」されるリスクもあるため、本当に信頼できる上司か、産業医だけに留めるか、慎重に見極めましょう。

Q4. クローズで体調を維持するコツは?

A. 「有給休暇」を、風邪を引く前に使うことです。

クローズ就労では、倒れてから休むと理由を詮索されます。「まだ頑張れる」という段階で、あえて戦略的に有休を取り、ガス抜きをしてください。
「あの人はよく有休を取るけど、仕事はちゃんとする人」というキャラを確立するのが、一番の自衛策です。

まとめ:キャリアは一度きりの「賭け」ではありません

クローズか、オープンか。この選択を「人生を左右する重大な決断」だと思い詰めすぎていませんか?
大丈夫です。どちらを選んだとしても、それが一生の決定事項になるわけではありません。

キャリアは一本道ではありません。「まずはクローズで挑戦し、辛くなったらオープンへ」「体調が整ったら再びクローズへ」というように、その時々の体調に合わせて、働き方は何度でも選び直していい(軌道修正できる)のです。

キャリアカウンセラー

「今の自分」に最適なカードを切る

働き方は、あなたを守るための「カード」に過ぎません。
今はバリバリ稼ぎたいから「クローズ」のカードを。今は少し休みたいから「オープン(配慮)」のカードを。
そんなふうに、自分のライフステージに合わせて、手持ちのカードを戦略的に使い分けていきましょう。

正解は「あなたが笑って働ける場所」

最終的なゴールは、障害を隠すことでも、配慮をもらうことでもありません。
あなたが朝起きた時に「今日もまあ、行ってやるか」と思えるような、無理なく息ができる居場所を見つけることです。焦らず、あなたらしい歩幅で、その場所へと歩いていきましょう。