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就労支援

就労支援者職員が利用者との距離感に悩んだときに考えてほしいこと

就労支援者職員が利用者との距離感に悩んだときに考えてほしいこと

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

就労支援職員が利用者との距離感に悩むことは、よくあることです。「この利用者とは相性が悪い」「自分は仕事ができないのでは」と考え込んでしまうと、悪循環に陥ってしまいます。しかし、距離感が崩れる理由は双方の相性や資質にはそれほど関係していません。支援や運用の歪が理由であることがほとんどです。今回は、就労支援職員が利用者との距離感に悩んだときに考えてほしいことや、距離感が崩れる理由、良好な距離感を保つための対応方法などを解説します。利用者との距離感に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

就労支援職員が利用者との距離感に悩むのは普通。まずは自分を責めないことが大事

就労支援の現場で、利用者との距離感に迷うのはよくあることです。支援は人と人の関わりなので、とくに困りごとが深い利用者ほど相談が増え、急ぎの連絡や感情の吐き出しを受け止める場面が続きます。そのときに疲労や不安、対処しきれなかったと罪悪感が出ても、それは決して能力不足ではありません。何をさておいても、まずは自分を責めないことが大事です。

就労支援は長期戦で、安定した関わりを保つこと自体が支援の質につながります。悩むのは利用者を大切にしたい気持ちがあるからであり、感情が動くことは自然です。大切なのは、感情を否定せず、支援者としての境界を保てる状態に戻す発想を持つことです。

距離感は相性ではなく支援の仕組みと運用のズレで生まれやすい

利用者との距離感がうまくとれないと「相性が悪いのかも」と感じてしまいますが、実際は個人の性格や資質のせいではありません。多くの場合、支援の仕組みや運用のズレが原因になっています。

例えば連絡の窓口が複数ある、返信の目安が決まっていない、緊急対応の基準が共有されていないなど運用に揺れがあると、利用者側の不安を刺激しやすく、確認の連絡が増えます。すると職員は、早く返さないといけない、放置すると悪化するかもしれないと感じて、対応を抱え込みがちです。

これらの積み重ねで双方の境界線が薄くなり、距離が詰まりすぎた状態が常態化します。ここで起きているのは相性の問題ではなく、支援を支えるルールや役割分担の機能不全です。

距離感を整えるには、気持ちのコントロールより先に、仕組みを点検するほうが効果があります。誰がどの範囲を担うのか、対応時間と返信の目安はどうするのかなど、支援の土台が明確になれば、利用者も先の見通しを持てますし、職員も判断に迷いにくくなるでしょう。距離感の悩みを個人の資質に寄せず、運用のズレとして捉え直すことが、就労支援の継続性と関係性の安定につながります。

就労支援職員と利用者の距離感が崩れる原因とは?

収量支援職員と利用者の距離感が崩れる原因としては、複数のパターンが考えられます。以下で個別に解説しているので、参考にしてください。

利用者の不安や孤立が強まると相談が特定の職員に集まりやすい

利用者の不安や孤立が強まると、相談が特定の就労支援職員に集まりやすくなります。利用者が信頼できる人を見つけたからという面もありますが、同時に距離感が崩れる入口にもなりやすい状況です。

利用者は別の職員に説明し直す負担を避けたい、わかってくれる人にだけ話したいという気持ちになりやすいもの。とくに失敗体験が多い人や自己肯定感が低い人ほど、関係が切れることへの恐怖から、確認の連絡や相談を繰り返すケースが見られます。

また職員側も困っているなら自分が受け止めたい、ここで断ると関係が悪化するかもしれないと感じ、対応を優先しがちです。すると対応の偏りが常態化し、利用者と職員の間に特別な関係ができたように見えてしまい、距離感の崩れとして表面化します。

対処のポイントは、利用者を責めることでも、職員が我慢して耐えることでもありません。相談の集中は利用者の孤立のサインであり、支援体制の分散が必要な合図です。例えば面談の担当を複数で共有する、記録を整えて誰が対応しても一定の質を保てるようにするなどの運用ルールを構築すると、利用者が安心して就労支援を受けられる環境を作れます。

企業・家族・医療・福祉の調整が増えると優先順位と境界が曖昧になりやすい

企業・家族・医療・福祉の調整が増えると、就労支援職員の中で優先順位と境界が曖昧になりやすいのも、距離感が崩れる原因です。就労支援は本人の支援が中心に見えますが、実際は関係者との連携が仕事の大きな割合を占めます。

採用担当や現場上司との調整、家族への説明、主治医や支援機関との情報共有などが同時進行になると、何を最優先で動かすべきかが日々変わります。さらに、トラブルや体調悪化など突発的な案件が入ると、予定していた支援が後回しになり、対応が場当たり的になりがちです。

距離感が崩れる典型的なパターンは、どこまでが就労支援で、どこからが医療や福祉の領域かが混ざってしまうケース。例えば本人の不調が続いているのに企業との調整ばかりが進み、本人の回復や生活の立て直しが置き去りになるなどのズレが起こると、職員は自分が全部担わないと回らない感覚に陥り、結果として利用者との距離が近づきすぎます。利用者側も、支援者が何でも引き受けてくれると感じると、頼り方の線引きが曖昧になります。

距離感を整えるには、支援の優先順位と役割分担を明確にすることが重要です。まず、本人の就労上の課題と、生活や医療面の課題を整理し、誰がどの領域を主担当として持つのかを決めましょう。連携先への共有は目的と範囲を決めて行い、支援者が抱え込まない設計にします。

特別対応が積み重なると支援範囲が広がりすぎやすい

特別対応が積み重なると、就労支援の支援範囲が気づかないうちに広がりやすくなります。最初は例外のつもりでも、次も同じ対応を期待されやすく、断ると急に冷たくなったように受け取られることがあります。

よくあるパターンとしては、連絡手段や対応時間がなし崩しになるケースが挙げられるでしょう。最初は急ぎの連絡に対応しただけなのに、夜間や休日の連絡が増え、即レスが前提の関係になることも珍しくありません。

面談以外の雑談や長電話が増え、就労に関係する整理よりも感情の受け止めが中心になることもあります。さらに、職員が本人の生活全般を管理するような状態になると、支援者と利用者の役割が逆転し、利用者の主体性が弱まりやすくなります。その結果、職員は疲弊し、利用者は支援がないと不安になるという依存の構造ができてしまいます。

特別対応をゼロにする必要はありません。重要なのは特別対応をした場合でも、支援の枠に戻す動線を用意することです。例えば今回だけの対応である理由を言語化し、次回以降は基本ルールに沿うことを伝えるなど、角が立たない程度できっちりと線引しましょう。

距離感を戻すときには、4つのルールで関係を組み直そう

就労支援職員と利用者の距離感が崩れてしまったときには、時間や連絡のルールなどを明確に設定し、関係を組み直すことが重要です。以下で、4つのルールを解説しているので、参考にしてください。

時間のルールを決める。対応時間と緊急時の動き方を共有する

距離感を戻すときは、時間のルールを決めて関係を組み直すと安定するケースが多くあります。就労支援で起こりがちなのは、対応できる時間帯が曖昧なまま、連絡がいつでも届く状態になること。利用者は不安が強いほど今すぐ返してほしいと思い、職員は悪化を避けたい気持ちから反射的に返してしまいます。この関係が続くと、支援は面談中心から即時対応中心にずれていき、距離感が近くなりすぎます。

まず決めるべきは、対応時間の範囲です。例えば平日の何時から何時まで対応するのかを明確にすると、利用者は待つ基準を持てます。職員も返せないことへの罪悪感が減り、支援の質を保ちやすくなるでしょう。個人の都合ではなく支援の運用として伝えると、利用者にとっても納得しやすい形に収まります。

次に必要なのが、緊急時の動き方の共有です。どの状態なら誰に連絡するのか、支援機関の連絡先はどこか、夜間や休日はどこにつながるのかを整理します。就労支援職員が24時間の窓口にならないための導線を作るイメージで運用体制を構築しましょう。

連絡のルールを公的に記録できる手段に一本化する

距離感を戻すうえで効果が大きいのが、連絡ルールの一本化です。就労支援では電話・メール・チャットなど連絡手段が増えやすく、いつの間にか職員個人の番号や個人アカウントが窓口になってしまうことがあります。利用者側もつながりやすい手段に依存しやすくなり、結果として距離感が近づきすぎてしまいがちです。

連絡手段は、公的に記録・共有できるものに統一しましょう。共有できる記録が残ると、やり取りの経緯を後から確認でき、言った言わないのトラブルを減らせます。さらに担当者が不在でも状況把握がしやすくなり、相談が特定の職員に集中する状態を緩和できます。

連絡先の一本化を進めるときは、移行の説明を丁寧に行ってください。今後の連絡はこの窓口に統一する理由を、支援の継続性と情報共有の観点で伝えます。以前特例的な対応があった場合は、過去の連絡は例外であり、今後は基本ルールに沿うという形で整理すると、関係性が崩れにくくなります。

役割と支援範囲を言葉して、できることできないことの合意を形成する

距離感を戻すときに欠かせないのが、役割と支援範囲を言葉にして共有することです。利用者は、困っているときほど支援者の助けを広く期待します。職員側も期待に応えたい気持ちから、できる範囲を超えて抱え込みがちです。

距離感が崩れた場合には、まず就労支援の役割を整理しましょう。就職や職場定着に向けて、何を一緒に進めるのかを明確にします。例えば応募書類添削・面接準備・職場での困りごとの整理・企業との調整などは支援の中心です。

一方で、医療判断や服薬の調整、生活全般の管理、家族関係の問題解決などは、就労支援だけで抱えるのではなく、医療や家族支援と連携して扱う領域だといえます。領域の分類は支援を縮小するためではなく、適切な支援につなげるための前提です。

次に、できることとできないことの合意を形成します。重要なのは、できないことを断言するだけで終わらせないこと。できない代わりに、どこにつなぐのか、どのタイミングで相談するのかをセットで示しましょう。単純にできないだけでなく、代替案を出せば利用者は見捨てられた感覚になりにくく、支援者も境界を保ちやすくなります。

見直しのルールを作り、目標変更やトラブル時にはズレを修正する

距離感を戻すには、一度ルールを決めて終わりではなく、見直しのルールを作るのも重要です。就労支援は状況が変わりやすく、目標がズレるケースも少なくありません。また体調の波・家庭事情・職場環境の変化・採用選考の結果などで、しばしば支援の優先順位が入れ替わります。その際に見直しの仕組みがないと、場当たり的な対応が増え、特別対応も常態化しやすくなります。

見直しのタイミングは、定期と臨時の2種類に分けると運用するのが効果的です。定期は月1回など頻度を決めて、就労支援の目標と支援計画を確認します。応募数や面接状況、職場での困りごと、生活リズムなどを振り返り、今の支援が目的に合っているかを点検しましょう。

またトラブルが起きたときは支援が増えがちですが、増やした支援を元に戻す工程がないと、負担だけが残ります。特別対応をした場合はいつまでか、どの条件で通常運用に戻すかも決めておくとスムーズな対応が可能です。

距離感の遠近を見分けるためのチェックポイント

就労支援職員と利用者の間では、気付かぬうちに距離感が近づきすぎたり、離れすぎたりしてしまうケースも多く見られます。以下で、距離感の遠近を見分けるためのチェックポイントを紹介します。距離感の崩れは早いうちに見極められたほうが対処しやすいので、ぜひ参考にしてみてください。

時間外対応や依存、排他性が増えるのは距離感が近すぎるサイン

時間外対応や依存、排他性が増えるのは距離感が近すぎる典型的なサインです。とくに時間外対応が増えるのは、最もわかりやすい兆候です。利用者は不安が高まるほど確認を求め、職員は悪化を避けたくて返信してしまいます。

依存は特定の職員じゃないと嫌と言われる、判断や行動を職員に委ねるのが多く見られるパターン。依存が進むと利用者の主体性が弱まり、支援の目的である就労の自立に逆行します。排他性は他の職員を避ける、担当変更を拒む、支援者の私生活に踏み込むなどの形で現れます。

これらのサインが見えたら、まずは責めずに状況を言語化しましょう。最近連絡が増えている、面談のテーマが就労からずれているなど、事実ベースで整理します。そのうえで、先程紹介した時間のルール・連絡手段・役割分担・見直しの手順を用いて軌道修正します。

面談が形だけになり本音や意向が拾えない場合は、距離感が遠いサイン

面談が形だけになり本音や意向が拾えない場合は、距離感が遠いサインです。就労支援では就職や職場定着のために計画を立て、進捗を確認する場面が多くなります。その結果、質問が確認に偏り、利用者の気持ちや迷いが置き去りになるケースも。利用者が言葉を選んで無難な返事だけをするようになっていないかを、注意深く見極めましょう。

距離が遠くなる背景には、利用者側の遠慮やあきらめがあります。否定された経験が多い人は、言っても変わらないと思いやすく、支援者に合わせた回答を選びやすい傾向です。自分の希望を言うこと自体が怖い場合もあるでしょう。

また、支援者側の忙しさや焦りも関係性が遠のく原因になり得ます。応募や面接、企業調整に追われると、支援の進行を優先して気持ちの確認を後回しにしがちです。すると面談は報告の場になり、利用者が本当に困っていることが見えにくくなっていきます。

修正のポイントは、距離の遠のきを感じたら面談の目的を一度リセットすること。例えば今日は進捗確認より気持ちと意向の整理を優先すると先に宣言します。質問も何が引っかかっているか、何が怖いかなど、利用者の悩みを紐解く方向に寄せてください。沈黙を急いで埋めないのも大事です。距離感は一瞬で戻るものではありません。傾聴する姿勢を見せて、少しずつ信頼を取り戻していきましょう。

距離感の判断に迷ったら目的・優先順位から総合的に判断するのが重要

距離感の判断に迷ったら目的・優先順位から総合的に判断しましょう。目的は、利用者との現在の関わり方が就労支援の目的に直結しているかを確認します。例えば応募の準備や職場定着の課題整理につながっているなら、一定の密度で関わる意味があります。

一方で連絡の多くが不安の確認だけになり、就労の行動に結びついていないなら、距離が近すぎて支援の軸がずれている可能性が考えられるでしょう。目的に照らすと、距離感を感情ではなく機能で見られます。

また今週は体調と生活、今月は応募など、優先順位を明確にすると、必要な関わり方の密度も決まります。距離感の崩れは、優先順位が揺れているときにもよく表出します。就労支援には、本人の就職活動、体調管理、生活の立て直し、企業との調整など複数の課題が同時に存在します。全部を同じ熱量で扱うと、境界が曖昧になりやすいため注意しましょう。

よくある困りごとを洗い出し、予め対処法を用意しておくと距離感が保ちやすい

利用者との距離感の崩れを解決するには、事前によくある困りごとを洗い出し、対処法を用意しておくのがおすすめです。しっかりと準備をしておけば、その都度どんな対応をするかを考える時間が省け、余計な感情が入り込む余地も少なくできますよ。以下で、事前に用意しておくべき対処法を解説します。

頻繁な連絡、長文相談、個人LINEやSNSでの連絡要求への対処法

連絡が多い場合は、先程の項目でも解説したとおり、まず時間と頻度をルール化します。対応時間・返信の目安・緊急時の基準を明確にし、連絡先は事業所の窓口に一本化しましょう。

長文相談への対処は、まず要点を確認する返し方に切り替えます。今の困りごとは何か、いつからか、何をしてほしいかの3点に絞って返信し、詳細は面談で扱うと伝えます。文章での相談は受け付けるが、結論は面談で一緒に整理するというルールにすると、距離感が近づきすぎるのを防げる可能性が高まりますよ。

個人LINEやSNSの要求には、個人情報の問題としてではなく、支援の運用として断るとトゲがありません。個人連絡先は使わない、連絡は事業所の窓口で統一する、と最初に説明しておくとトラブルが減ります。

求められたときは、できない理由と代替をセットで伝えます。個人では対応できないが窓口なら確実に記録でき、チームで支援を継続できるといったふうに整理して伝えましょう。断ること自体が目的ではなく、支援を長く続けるための線引きだと共有することが大切です。

プレゼントや金銭の申し出があるときの対処法

利用者が感謝の気持から金銭を含むプレゼントを渡したいと思うことはままありますが、受け取る側が曖昧に対応すると、関係が私的な方向に傾きやすくなります。就労支援は信頼関係が前提だからこそ、好意を断る行為が冷たく見えないよう事前に対処法を用意しておくのが重要です。

基本は、受け取れないというルールを支援の運用として伝えることです。個人として断るのではなく、支援の公平性と継続性を守るために受け取らないと説明します。例えば、気持ちは嬉しいが、支援の立場上贈り物や金銭は受け取れないという形にしましょう。重要なのは、相手の気持ちを否定しないこと。感謝の気持ちは受け取りつつ、物やお金は受け取らないという線引きを明確にします。

なお現場で迷いが出やすいのは、手作りのお菓子や小さなお礼などの断りづらいケースです。ここも例外を作ると基準が崩れます。対応を個人に委ねず、事業所の方針として統一しておきましょう。

ハラスメント・つきまとい・自傷・他害の示唆への対処法

ハラスメントやつきまといが起きたときは、就労支援職員が個人で抱えず、支援の枠組みで即座に線引きしてください。連絡は事業所の窓口に統一し、個人連絡先は使わない運用に切り替えます。

また面談は原則として複数名対応やオープンスペースで行い、訪問や待ち伏せなどが見られる場合は動線も含めて管理者と共有します。発言や行動は日時と内容を事実ベースで記録し、担当交代や対応制限などの判断材料にしてください。

自傷や他害の示唆が出た場合は、距離感の問題として扱わず危機対応に切り替えます。利用者の発言を軽く流さず、差し迫った危険があるかを確認し、管理者や関係機関と連携して対応しましょう。

関係を崩さないように距離感を保つための伝え方

利用者との関係を崩さないようにするには、距離感を保つ伝え方をするのが重要です。言葉の受け取り方は十人十色で、こちらの真意が正確に伝わらないことはよくあります。できるだけ語弊を少なくする伝え方を心がければ、意思伝達もスムーズに進むでしょう。

共感・理由・合意・次の一手の順で話す

共感・理由・合意・次の一手の順で話すのは、わかりやすく伝えるための有効な手段です。共感は、連絡したくなる気持ちはわかる、急に不安が強まることがあるのも理解している、と感情の存在を認めます。ここで、同意や約束をしないのがポイントです。

次に理由を伝えます。個人の都合ではなく、支援を継続するため、情報を共有してチームで支えるため、記録を残して誤解を減らすためなど、支援の目的に紐づけましょう。理由が運用として説明されると、利用者は納得しやすくなります。

合意は、これからは連絡はこの窓口にする、返信はこの時間帯に行う、緊急時はこの手順にすると具体的に確認します。最後に次の一手です。制限を伝えたまま終えると不安が残るので、代替行動の提示も忘れずに。例えば、今夜不安が出たらメモに書いて明日の面談で整理する、長文相談は要点だけ送って面談で扱うなど、利用者が取れる行動を具体化してみてください。

断るときは代替案もセットで伝える

断るときは代替案もセットで伝えるのが、距離感を保ちつつ関係を構築するコツです。断り方が雑だと利用者は拒否されたと感じやすく、関係が硬直します。そこで重要なのが、断るときは代替案もセットで伝えること。できないを伝えるだけで終わらせず、次に取れる行動を示すと、距離感を保ちながら支援を継続しやすくなります。

断る内容は、短く明確にします。そのうえで、できない理由は個人の都合ではなく、支援の運用として説明します。記録と共有のため、支援の公平性のため、対応時間を守って継続するためなど、支援の目的に紐づけると角が立ちにくくなります。

代替案は、利用者が実際に実行できる具体性が必要です。連絡の方法・時間帯・緊急時の条件・次回面談までの過ごし方などを明確にします。不安が強い利用者には、待っている間にできる行動をセットにすると効果があります。例えば困りごとをメモにして持参するなど、次の面談につながるタスクにしてみるのもよいでしょう。

職場単位の取り組みでは、1人で抱え込まない運用ルールを作るのが大切

就労職員と利用者が良好な距離感を保とうとしても、当事者だけでは限界があります。職場単位で取り組み、1人で抱え込まないような運用ルールを作るのが大切です。以下で取り組み例を解説しているので、参考にしてください。

会議で基準を揃える。どこまで対応するかを共通言語にする

会議で基準を揃え、どこまで対応するかを共通言語にするのは、比較的取り組みやすく、効果も高い運用ルールです。会議では、具体的なケースを材料にして基準を言語化します。例えば連絡頻度が増えたときの初動、時間外連絡が来たときの返し方の対応などをそろえます。その際には言い回しまで詰めておくと、利用者に伝わる支援の一貫性が高まるでしょう。

どこまで対応するかは、支援範囲と緊急度の基準として整理すると共有しやすくなります。就労支援として扱うテーマ、医療や福祉につなぐテーマ、家族や企業と連携する条件などを分類しましょう。明確な支援範囲の基準があれば、職員は断るべきところで断りやすくなり、罪悪感や孤立感が減ります。利用者にとっても支援が突然変わる不安が減り、距離感が安定します。

相談と記録を仕組みにする。責任者と導線を決め事実と判断を分けて残す

距離感の崩れを防ぐには、職員の気づきや経験を個人に留めさせず、相談と記録を仕組み化するのが重要です。記録をするときには、事実と判断を分けて残します。事実は日時・場所・相手の発言や行動・連絡の頻度などの内容に絞ります。

判断は、その事実をどう捉えたか、リスクは何か、対応方針はどうするかを別枠で整理します。事実と判断を分類しておけば、誰が見ても状況が理解しやすくなりますよ。逆に事実と判断が混ざると誤解が生まれやすく、担当交代やチーム共有が難しくなります。

責任者と報連相の導線を決めるのも、職場単位で取り組める運用ルールです。責任者を明確にすると判断が個人によらず、対応が統一されます。導線は、どのタイミングで誰に相談するかを具体化しましょう。例えば、時間外連絡が続いたら管理者に共有する、排他性やつきまといの兆候が出たら即日で報告する、長文相談が増えたら担当会議に上げるなど、トリガーを作ると運用が回りやすくなります。

まとめ

今回は、就労支援職員が利用者との距離感に悩んだときに考えてほしいことや、距離感が崩れる理由、良好な距離感を保つための対応方法などを紹介しました。

就労支援の現場で、利用者との距離感に迷うのは普通です。そして、ほとんどの距離感の崩れは個人の相性の問題ではなく、運用や仕組みに問題があります。利用者との距離感に迷ったら、ぜひ本記事を参考に解決方法を考えてみてください。