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障害者手帳で使える就労支援制度まとめ|就労選択支援・助成金・申請の流れを解説

障害者手帳で使える就労支援制度まとめ|就労選択支援・助成金・申請の流れを解説

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

障害者手帳をお持ちの方が活用できる就労支援制度を網羅的に整理しました。2025年10月に施行された「就労選択支援」の中身、就労移行支援・A型・B型の違い、助成金や雇用率の最新動向、申請手順までを当事者目線でまとめています。

障害者手帳と就労支援制度の全体像

障害のある方の「働く」を支える仕組みは、障害者総合支援法や障害者雇用促進法など複数の法律に根拠を持ちます。手帳の種類ごとに受けられるサービスが微妙に違うため、まずは全体の地図を頭に入れておくと、窓口での相談がぐっとスムーズになります。

3種類ある障害者手帳と、就労支援との関係

就労支援を語るうえで避けて通れないのが、手帳の種類です。3つのうちどれを持っているかで、使える制度の入口や優遇の幅が変わってきます。

  • 身体障害者手帳(1〜6級):肢体不自由・視覚・聴覚・内部障害など、身体機能に永続的な障害がある方が対象
  • 精神障害者保健福祉手帳(1〜3級):統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、発達障害、てんかん、高次脳機能障害などが対象。2年ごとの更新制
  • 療育手帳(自治体により区分名が異なる):知的障害のある方が対象。東京都は「愛の手帳」、名古屋市は「愛護手帳」など呼称や等級区分が自治体ごとに異なる

「手帳を取るかどうか」で悩まれる方が本当に多いんです。手帳がなくても医師の診断書で利用できる福祉サービスはありますが、障害者雇用枠での求人応募や多くの助成金は手帳が前提になります。取得は任意ですが、就労支援を本格的に使うなら早めに動いておくと選択肢が広がりますよ。

就労支援専門員

就労支援が目指しているもの

就労支援の目的を「仕事を見つけること」と捉えると、本質を見誤ります。制度が本当に目指しているのは、その人が無理なく長く働き続け、働くことを通じて自分の居場所を持てる状態をつくることです。

  • 障害特性と職場環境をすり合わせ、ミスマッチを減らす
  • 働くために必要なスキル、対人コミュニケーション、生活リズムを整える
  • 就職後の定着を見守り、離職リスクの芽を早期に摘む
  • 働く経験を通じて自己肯定感や社会参加の実感を得る

制度を使うかどうかで変わる「3つの差」

同じ障害があっても、支援制度を活用する人としない人では、就職までの道のりに明確な差が出ます。主な違いは次の3点です。

  • 情報量の差:求人票に載らない企業の受け入れ体制や配慮実績を知れる
  • 訓練機会の差:生活リズムの立て直しから面接対策まで、段階的にステップを踏める
  • 就職後の伴走の差:困りごとが起きた際、会社と本人の間に立つ第三者がいる

自分だけで就活していた頃は、半年で3社辞めてしまって。支援員さんに入ってもらってからは、苦手なことを事前に会社に伝える「ナチュラルサポートシート」を一緒に作ってもらえて、今の職場ではもう2年続いています。

就労移行支援を経て一般就労中・30代

障害者総合支援法で使える4つの就労系サービス

障害者総合支援法のもとには、目的や働き方の違いに応じて4種類の就労系サービスが用意されています。それぞれ対象者・工賃(賃金)・利用期間・契約形態が異なるため、違いを押さえて自分に合ったものを選びたいところです。

就労移行支援:一般就労を目指す“訓練の場”

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方が最長2年間(必要に応じて1年延長可)通所し、職業訓練と就活サポートを受けるサービスです。原則として工賃は発生せず「通って訓練する」ことが目的で、ビジネスマナー、PCスキル、企業実習、面接練習まで一貫してサポートを受けられます。

見学に来られた方にまずお伝えしているのは、「移行支援はゴールではなく準備運動の場」だということ。2年という期限があるので、ここで体力・対人スキル・自己理解を鍛えて、その先の職場へバトンを渡すイメージですね。

就労移行支援事業所 サービス管理責任者

就労継続支援A型:雇用契約を結んで働く

A型は事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を受け取りながら働くサービスです。一般企業への就職は難しいものの、労働契約のもとで働ける方が対象となります。厚生労働省の公表する令和6年度の全国平均月額賃金は91,451円で、週20時間前後の勤務が中心です。

就労継続支援B型:雇用契約なしで自分のペースで

B型は雇用契約を結ばず、作業に応じて「工賃」を受け取る形態です。体調の波が大きい方、長時間の勤務が難しい方が中心で、令和6年度の全国平均月額工賃は24,141円(厚生労働省公表値)と、A型と比べると金額は大きく下がります。ただし「働く」という行為そのものに慣れる場として、社会参加の第一歩に位置づけられます。

出典:

就労定着支援:就職後3年間の伴走サービス

就労移行支援などを経て一般就労した方が、職場に馴染むまでを支えるサービスです。支援期間は最長3年。月1回以上の面談を通じて、生活リズムの乱れ、対人トラブル、体調不良の兆しといった「小さな不調」を早期にキャッチし、会社との間に立って調整してくれます。

どのサービスを選ぶか迷ったときの判断軸

4つのサービスは似ているようで、設計思想がまったく違います。迷ったときは次の視点で整理してみてください。

  • 働く体力と生活リズムは整っているか:整っていなければB型から、整っているなら移行支援やA型を検討
  • 一般就労を目指すか、福祉的就労を続けたいか:目指すゴールで選ぶサービスが分かれる
  • 賃金より訓練を優先するか、収入を得ながら働きたいか:工賃の発生有無は大きな分岐点

2025年10月施行「就労選択支援」で何が変わったか

2025年10月に新設された「就労選択支援」は、障害のある方が自分に合う働き方を納得して選べるよう、専門的なアセスメント(評価)と情報提供を行うサービスです。2026年3月時点で本格運用が始まっており、従来「なんとなくB型」「勧められるままに移行支援」といった選び方になりがちだった流れを、本人主体の選択へと切り替える狙いがあります。

就労選択支援が生まれた背景

これまでの就労系サービスの入口では、本人の適性や意向よりも「空きのある事業所」「地域で紹介しやすい事業所」に流れやすいという課題がありました。結果として一般就労を目指せる方がB型に留まったり、逆に体調が整っていない方が移行支援に入って中断したりするミスマッチが繰り返されてきたのです。

就労選択支援は「どこで働くかを決める前に、客観的な評価を受ける」ための制度です。短期間ですが作業場面を使って職業適性を見て、関係機関で会議を開き、本人に結果をフィードバックします。選択の責任を本人に返す制度、と言ってもいいかもしれません。

厚生労働省 障害保健福祉部関係者

対象となるのはどんな人か

利用が必須となる対象者は、施行時期によって段階的に広がります。

  • 2025年10月〜:新たにB型の利用を希望する方は、原則として就労選択支援のアセスメントが必須
  • 2027年4月〜:新たにA型を利用したい方、就労移行支援の標準利用期間(2年)を超えて更新したい方も必須対象に

特別支援学校の在校生も任意で利用でき、卒業後の進路検討に活かせます。学校と事業所が連携することで、在学中から自分の職業適性を知り、実習先や卒業後の受け入れ先の候補を現実的に絞り込めるようになります。

提供される支援の中身

サービス提供期間は原則1ヶ月、最長2ヶ月。この間に4つのステップで支援が進みます。

  1. 作業場面を使った状況把握:実際の軽作業やPC作業を通じて、作業スピード・集中力・対人特性を評価
  2. 多機関連携ケース会議:市町村、相談支援事業所、医療機関などが集まり、中立的に方針を検討
  3. アセスメント結果の作成と本人フィードバック:評価結果を本人が理解しやすい形で共有し、自己理解を促す
  4. 事業者等との連絡調整:候補となる就労先の見学や体験利用をセッティング

障害種別ごとに見る「効きやすい」支援サービス

同じ就労支援サービスでも、障害の種類によって活きる場面と効きにくい場面があります。自分の特性を踏まえて使い分けることが、遠回りを避けるコツです。

身体障害のある方:環境調整がカギになる

肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害などの身体障害では、障害そのものよりも「周囲の環境が整っているか」が就労継続を左右します。車椅子ユーザーならバリアフリー動線、聴覚障害なら筆談・手話通訳・チャットでのやり取り、内部障害なら体調変化への理解など、必要な配慮を具体的に言語化できることが採用の決め手になります。

車椅子なので「通勤どうする?」「トイレは?」が面接で必ず話題になります。移行支援で支援員さんと一緒に「配慮事項シート」を作って、自分から先に説明できるようにしたのが効きました。聞かれて黙るのと、こちらから出すのでは印象が全然違います。

脊髄損傷・一般就労中・30代

知的障害のある方:視覚化と反復が効く

抽象的な口頭指示より、写真入りの手順書、工程を分解したチェックリストなど、視覚情報での指示に強みを発揮しやすい傾向があります。就労継続支援B型で作業に慣れ、工程を体で覚えてから移行支援やA型にステップアップするルートが、現場ではよく機能しています。ジョブコーチが職場に入って最初の数週間を伴走する仕組みも、定着率を押し上げる要因です。

精神障害のある方:体調の波と付き合う設計が必要

うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害など、症状の波との付き合い方が就労の中心テーマになります。リワーク(復職)プログラム、就労移行支援の精神障害特化型事業所、短時間勤務からの段階的復帰など、「無理せず戻る」ための選択肢が比較的整っている領域です。主治医と支援員を巻き込んだ三者連携で進めると、再発リスクを抑えやすくなります。

発達障害のある方:強みを活かす職種選択

ASD(自閉スペクトラム症)なら正確性・持続性、ADHDなら発想力・瞬発力など、特性の裏面には強みがあります。発達障害に特化した就労移行支援事業所では、感覚過敏への配慮や、曖昧な指示を避けた具体的なタスク設計など、現場で再現できる工夫をトレーニングできます。発達障害者支援センターとの併用も有効です。

事業所選びで見るべき5つのポイント

同じサービス種別でも、事業所ごとの色は驚くほど違います。見学のときに次の点を必ず確認してください。

  1. 自分の障害種別の利用者が実際にいるか:パンフレットの記載ではなく通っている人の構成
  2. 直近1年の就職実績と定着率:数字を出してくれるかどうかも事業所の姿勢を測る指標
  3. 訓練プログラムの具体性:「コミュニケーション訓練」など抽象的な科目名は要注意
  4. 通いきれる距離・時間か:片道1時間以上だと通所が続かない例が多い
  5. 見学・体験時のスタッフの表情:利用者への声のかけ方、事業所内の空気感

障害者雇用で動くお金|本人向け・企業向けの助成制度

障害者雇用には、本人が受け取る給付・手当と、雇用する企業に支払われる助成金の2つの流れがあります。企業向け助成金は採用面接での交渉材料にもなるため、本人も概要を知っておく価値があります。

手帳の等級と支援内容の関係

手帳は身体(1〜6級)、精神(1〜3級)、療育(自治体別)に分かれ、数字が小さいほど重度です。等級は障害基礎年金の判定や特別障害者手当、税控除額などに連動しますが、就労支援サービスそのものの利用可否には直接関係しません。「等級が軽いから支援を受けられない」と誤解している方が少なくないのですが、そこは安心してください。

企業が受け取れる代表的な助成金

採用側の企業が使える助成金のうち、求職中の方に関係が深いのは次の3つです。

  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース):障害者をハローワーク等の紹介で雇い入れた事業主に、賃金相当額の一部を最大2〜3年助成
  • トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース):3〜12ヶ月の試行雇用に対し、月額最大4万円(精神障害者は最大8万円)を助成
  • 障害者作業施設設置等助成金:障害特性に応じた設備・機器の導入費用を助成(対象経費の2/3)

出典:

面接の場で「私を採用されると御社は特定求職者雇用開発助成金の対象になります」と一言添えるだけで、企業側の検討スピードが変わります。もちろん主役は本人の適性ですが、経営判断の追い風になる情報は渡してあげたほうがいい。

障害者雇用コンサルタント

本人が受け取れる主な制度

就労と並行して、本人が直接申請できる経済的支援も押さえておきたいところです。

  • 障害基礎年金:1級 月額約85,000円、2級 月額約68,000円(令和6年度金額)。就労していても受給可能な場合あり
  • 特別障害者手当:在宅の重度障害者(おおむね身体1・2級、精神1級相当)に月額約28,000円
  • 自立支援医療(精神通院):精神科通院の医療費自己負担を原則1割に軽減
  • 補装具費支給制度:車椅子、補聴器、義肢などの購入・修理費を支給

出典:

受給要件や金額は年度改定があります。申請前にお住まいの市区町村の障害福祉課、または年金事務所で必ず最新情報を確認してください。

無料で使える公的就労支援機関の役割分担

公的な就労支援機関は、それぞれ得意分野が違います。1ヶ所で完結させようとせず、役割に応じて使い分けるのが王道です。
「どこに相談すればいいのか分からない」という不安は、支援機関ごとの役割を知るだけで解消されます。仕事探し、専門的な評価、そして生活の土台作り──それぞれの機関を「チーム」として連携させることで、あなたの就職活動は驚くほど安定します。
まずは、あなたが頼るべき「3つの公的支援機関」を確認しましょう。

頼れる3つの公的就労支援機関

「ハローワークで求人を探し、センターで適性を評価してもらい、なかぽつで生活の安定を図る」といったように、それぞれの強みを掛け合わせることが、長く働き続けるための最善の戦略です。
ここからは、各機関をどう活用し、どんなタイミングで相談に行くべきかを詳しく解説します。

ハローワーク|求人とのマッチングの主戦場

ハローワークには「障害者専門窓口」があり、障害者求人の情報量、企業との接点、紹介状の発行といった「実際に応募する段階」で中心的な役割を果たします。担当者制で継続して同じ職員がついてくれる自治体も多く、求人検索に留まらず、履歴書添削や模擬面接、企業との面接同行まで対応してもらえます。

障害者求人の約4〜5割はハローワーク経由で動いています。民間の障害者専門の転職エージェントと併用される方が増えていますが、中小企業の求人はハローワークに集中しているので、「大手以外も見たい」という方は外さないでほしい窓口です。

ハローワーク 障害者専門担当

地域障害者職業センター|職業リハビリの専門機関

各都道府県に1ヶ所(一部の県には支所あり)設置されている、高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する専門機関です。職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援など、より踏み込んだリハビリ的プログラムを提供します。

  • 職業評価:心理検査と作業課題を組み合わせた詳細な職業適性評価
  • 職業準備支援:週5日2〜3ヶ月の通所で、働く生活リズムを整える
  • ジョブコーチ支援:事業所に直接入り、本人と会社の両方を支援する

障害者就業・生活支援センター|“なかぽつ”の存在

通称「なかぽつ」(または「しゅうぽつ」)と呼ばれる、身近な地域の拠点機関です。就業面だけでなく、生活リズム、金銭管理、対人関係など「働き続けるための生活」も一緒に支えてくれます。全国約340ヶ所に設置されており、就職後の定着支援を長く担える存在として重宝されています。

複数機関を使い倒すコツ

公的機関を上手く使っている方は、1ヶ所に依存しません。併用のコツは次の4つです。

  1. 役割を分けて使う:求人応募はハローワーク、職業評価は職業センター、生活相談はなかぽつ、といった形で
  2. 同じ情報を重複して伝える:各機関で話した内容を次の機関にも共有し、支援者同士の連携を促す
  3. 「誰かに決めてもらおう」としない:相談する側が主体でないと、支援は空回りする
  4. 相性が合わない担当者は変えてもらえる:伝えれば変更可能。我慢し続けると支援が止まる

制度を活用して働き出した人たちのリアル

きれいな成功談だけを並べても参考になりません。ここでは、回り道や中断を経て今の働き方に辿り着いた事例を、差し支えない範囲で紹介します。

Aさん|事故で中途障害、IT職への転身

30代男性・脊髄損傷・身体障害者手帳2級

交通事故で下肢に障害が残り、元の営業職への復帰を断念。退院後の半年間は「何もできない自分」を責め続け、外出もままならない時期が続きました。転機はハローワークの障害者専門窓口で紹介された就労移行支援事業所。プログラミング未経験から1年半かけて基礎を身につけ、在宅勤務中心のIT企業に就職しました。

最初の3ヶ月は通所するだけで精一杯で、PCに触るところまで行かなかった。支援員さんが焦らせなかったのが大きかったです。今も週3は在宅、週2は出社ですが、通勤ラッシュを避けるために時差出勤させてもらっています。

Aさん・30代男性

Dさん|うつ病での休職を経て障害者雇用枠へ

40代女性・うつ病・精神障害者保健福祉手帳2級

大手企業の総合職として働いていたDさんは、管理職昇進後に体調を崩して休職。復職プログラムに乗ったものの再休職となり、退職を選びました。1年半の休養を挟んで就労移行支援を利用し、現在は別業界の事務職で障害者雇用枠として週30時間勤務。給与は以前の6割ほどに下がりましたが、継続して働けている実感が戻ったといいます。

事例から見える共通点

成功事例と呼ばれる方々に共通するのは、派手な頑張りではなく、地味な積み重ねです。

  • 自分の障害特性を他人に説明できるレベルまで言語化している
  • 「前と同じように働く」を手放し、働き方のダウンシフトを受け入れている
  • 支援者や主治医を巻き込み、一人で抱え込まない構造を作っている
  • 就職がゴールではなく、定着と継続を重視している

障害者雇用の最新動向と制度改正の流れ

障害者雇用を取り巻く環境は、法定雇用率の引き上げとともに大きく動いています。数字とルールの変化を押さえておくと、求職活動でも交渉でも有利に働きます。

法定雇用率と実雇用率の最新数値

厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業(43.5人以上規模)の雇用障害者数は約67万7,461人、実雇用率は2.41%と、いずれも過去最高を更新しました。一方で法定雇用率(2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%に段階引き上げ)を達成している企業の割合は46.0%に留まっており、未達成企業のほうが多い状況です。

出典:

実雇用率は上がっていますが、中身を見ると業種格差がはっきりしています。医療・福祉、製造業は達成率が高く、情報通信、金融、不動産は相対的に低い。求職者の立場でいえば、「達成率の高い業界」と「未達成で採用を急いでいる業界」の両方にチャンスがあると捉えたほうが現実的です。

障害者雇用アナリスト

2025〜2027年にかけての制度変更

直近の制度改正スケジュールは、求職タイミングに直接影響します。押さえておきたいのは次の4点です。

  • 就労選択支援の創設:2025年10月施行済み
  • 法定雇用率の段階引き上げ:2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%へ
  • 障害者雇用納付金の対象拡大:常用労働者100人超の企業が対象(変更なし)、ただし除外率の縮小が継続
  • A型事業所の経営改善要請:生産活動収支が赤字の事業所への指導強化、一部事業所の廃止が進行中

これから起きそうな変化

現場の動きから見えてくる、中期的なトレンドを整理しておきます。

  • AI・ICT活用による「支援技術の進化」:音声認識、文字起こし、画像認識など、障害特性を補うツールの低コスト化が進行
  • テレワーク前提の障害者雇用の定着:コロナ禍を機に普及した在宅勤務が、身体障害・精神障害問わず選択肢として確立
  • 短時間勤務枠の法制度化議論:週10時間以上20時間未満の雇用についても、実雇用率算定に一部算入する制度が整備

制度を使うまでの具体的な手順

就労支援サービスは、思い立った日にすぐ始められるものではありません。相談から利用開始まで、おおむね1〜3ヶ月かかります。流れを知っておくと、焦らずに進められます。

最初の相談はどこへ

迷ったら、お住まいの市区町村の「障害福祉課」が最初の一歩としては確実です。そこから地域の相談支援事業所や、就労支援の入口になる機関を紹介してもらえます。精神疾患で通院中の方は、病院の精神保健福祉士(PSW)に相談すると、医療と福祉をつないだ動き方ができます。

「就労支援を受けたい」と明確な方は事業所に直接問い合わせでも構いませんが、初めての方は市町村窓口を経由するほうが結果的に近道です。地域に合う事業所の情報を持っているのは、やはり行政と相談支援事業所ですから。

相談支援専門員

申請から利用開始までの5ステップ

相談から実際にサービスを使い始めるまでの流れは、どのサービスでもおおむね共通しています。

  1. 相談支援事業所の選定:計画相談支援を担当してもらう事業所を選ぶ
  2. サービス等利用計画案の作成:相談支援専門員と面談し、目標と利用プランを文書化
  3. 障害福祉サービス支給申請:市町村の障害福祉課に申請書を提出
  4. 支給決定と受給者証の発行:審査を経て「障害福祉サービス受給者証」が交付される
  5. 事業所との利用契約:希望する就労支援事業所と正式に契約し、利用開始

支援を無駄にしないための4つの意識

制度を使えば自動的に就職できるわけではありません。次の意識の有無で、同じ支援でも成果が大きく変わります。

  • 自己理解を深める:得意・不得意・配慮してほしい点を自分の言葉で語れる状態を目指す
  • 短期・中期・長期の目標を言語化する:3ヶ月後、1年後、3年後の姿をそれぞれ描いてみる
  • 支援者と対等な関係を築く:困りごとも違和感も、溜めずに伝える
  • 欠席・遅刻は早めに連絡する:訓練への向き合い方は、就職後の勤怠と直結する

よくある質問

就労支援制度の利用にあたって寄せられる質問を、現場でよく出るものに絞ってまとめました。

Q&A|利用条件と申請の基本

Q1. 障害者手帳を持っていなくても就労支援サービスは使えますか?

A. 医師の診断書や自立支援医療受給者証があれば、就労移行支援やB型の利用は可能な場合があります。ただし、障害者雇用枠での求人応募は原則として手帳が必要です。手帳の申請中であれば、その旨を示す書類で相談を進められるケースもあります。

「手帳を取ると戻せない」と心配される方がいますが、精神の手帳は2年更新制で、更新しなければ自動的に失効します。身体の手帳も障害状態が軽快すれば再判定で等級変更や返還が可能です。取ることが一生の決断になるわけではないので、必要な時期に必要な制度を使うという発想で構いません。

就労支援カウンセラー