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障がいについて

「疲れやすい」が続く人へ|働きづらさの背景にある障がいの可能性

「疲れやすい」が続く人へ|働きづらさの背景にある障がいの可能性

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

仕事をしていて人一倍疲れを感じたり、周囲と同じように働けなかったりすることに悩んでいませんか。その疲れは、本人の努力不足ではなく、発達障害や適応障害といった障がいや特性が関係している可能性があります。今回は、疲れやすさの背景にある原因や具体的な症状、心身の負担を減らすための対処法などを解説します。仕事で疲れやすさや働きづらさを感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。

疲れやすい、働けない原因は障がいにある?症状や原因を紹介

仕事から帰ると動けなくなる、休日も疲れが取れずに寝て過ごしてしまうといった状態が続く場合、単なる体力不足ではなく、背景に障がいが隠れている可能性があります。障がいがある場合、周囲と同じように動こうとしても、脳の仕組みや神経系の過敏さによって、たくさんのエネルギーを消耗しているケースは少なくありません。

一般的な疲れやすさは睡眠不足や質の低下・食生活の乱れ・運動不足・慢性的なストレスなどが理由ですが、障がいがある人の場合は、特定の刺激や環境変化に対して心身が過剰に反応することで引き起こされます。

例えば職場での電話の音、同僚の話し声、不規則に発生するタスクなどが脳に大きな負荷を与え続け、疲労を生じさせます。本人は普通に振る舞っているつもりでも、脳は常にフル稼働の状態が続いており、酷使を続けることで働けなくなるほどの疲労を招くケースも少なくありません。

以下の項目では、発達障害・適応障害の障がい別にどのような理由で疲れやすさを感じやすいかを詳しく解説しているので、自分に当てはまっているかを確認してみてください。

発達障害(ASD・ADHD)は感覚過敏や過集中で疲れを感じやすい

発達障害の特性を持つ人は、感覚過敏が原因で疲労を感じるのが一因となります。感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚などの五感が過敏に反応する状態を指します。例えば周囲のタイピング音・コピー機の動作音・蛍光灯のちらつき・香水の匂いなどに過剰な反応をしてしまい、ストレスとして蓄積されます。定型発達の人であれば無意識に受け流せる刺激を真正面から受け止めてしまうため、ただ席に座っているだけでも強い疲労を感じるケースが多く見られます。

注意欠如・多動症(ADHD)の人は、過集中による消耗が目立ちます。過集中では興味のある対象や差し迫ったタスクに対して、寝食を忘れるほどの集中力を発揮します。過集中に陥っている最中は疲れを自覚できませんが、ふとした瞬間に集中が切れると、充電が切れたかのように激しい疲労感に見舞われます。

また、周囲に合わせようと過剰に適応するのも疲労の原因です。空気を読もうと神経を尖らせたり、自分の特性を隠して普通を装ったりする行為は、精神的疲弊を招きます。理想の自分を演じ続けると、バーンアウトや不安障害、うつ病などの二次的な疾患につながる可能性もあります。

適応障害はストレスで自律神経が乱れ、働けなくなることも

適応障害は、職場環境や人間関係など、特定の原因から受けるストレスが許容量を超えたときに発症します。本来であれば、活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経がうまく切り替わることで健康を維持していますが、過度なストレス下では交感神経が過剰に優位な状態が続き、心身が休まる暇を失ってしまいます。

自律神経の乱れは、全身にさまざまな症状をもたらします。例えば朝、仕事に行こうとすると激しい吐き気や腹痛に襲われる、夜になっても頭が冴えて眠れない、常に心臓がドキドキするといった反応が見られます。また感情のコントロールも難しくなり、急に涙が止まらなくなったり、些細なことで激しい不安に駆られたりすることもよくある症状です。

疲れが取れないまま無理に働き続けると、思考力や判断力が低下し、普段ならしないようなミスを繰り返すようになります。その結果、さらに自分を追い詰め、ますますストレスが増大するという負のスパイラルに陥るケースも。適応障害が原因で働けないという状態は、単なる気分の落ち込みではなく、神経系が過負荷によって機能不全を起こしているサインといえるでしょう。

疲れやすい、働けないときの対処法は?障がい別に解説

疲れやすさを日常的に感じたり、疲労感が原因で働けなかったりするときには、何らかの対処が必要です。しかし、背景に障がいが隠れている場合は、一般的な休息やストレス発散では問題は解決しません。

以下の項目では、発達障害・適応障害の障がい別に対処法を解説しているので、参考にしてみてください。

発達障害の場合は、環境を整えたり過剰な集中力をセーブする工夫が有効

発達障害の特性による疲れを軽減するには、自身の特性を正しく把握し、環境を自分に合わせる工夫が求められます。感覚過敏への対策としては、物理的な刺激を遮断することが有効です。

例えば音に敏感な場合は、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンや耳栓を活用する、光が眩しい場合はPCモニターの輝度を下げたり、ブルーライトカットメガネを使用したりするなど、脳に入る情報量を意図的に減らすと消耗を抑えられます。

過集中への対処には、時間の管理の仕方を工夫すると効果がある可能性があります。例えば集中しすぎて限界を超える前に、タイマーやアラームをセットして1時間に5分から10分程度の休憩を強制的に挟んでみてください。休憩の際には一度デスクから離れて深呼吸をしたり、視線を遠くに移したりして、高ぶった神経を落ち着かせましょう。自分のエネルギーを100%使い切るのではなく、ある程度の余力を残して1日を終えるイメージを持つと、疲労の蓄積を防ぎやすくなります。

マルチタスクや曖昧な指示による混乱を避けるには、仕事のやり方を少しだけ変えるだけで効果が出る場合があります。例えば指示を受けた際はその場でメモを取り、優先順位を上司や同僚に確認して、タスクを一つずつ処理できるよう整理すると、仕事が進めやすくなりますよ。また視覚的にスケジュールを管理できるツールを導入し、次に何をすべきか迷う時間を減らすことも、脳のリソースを節約する有効な手段です。

適応障害の場合は、ストレスの原因から離れて心身の回復を図るのが大切

適応障害による疲れや働けない状態を改善するためには、心身の回復を優先し、ストレス源から離れることが不可欠です。ストレスがかかり続ける環境のなかで無理やり現状を打破しようとすると、かえって症状を悪化させる恐れがあります。可能であれば医療機関を受診して、医師の診断に基づいたうえで休職や短時間勤務への変更を検討するなど、心身を休ませるためのまとまった時間を確保してください。

十分な休養によってエネルギーが回復してきたら、ストレスを感じやすい状況や自分の反応パターンなどを整理しましょう。適応障害は、置かれている環境と本人の持つ特性のミスマッチから生じるため、どのような場面で特に強い負担を感じたのかを書き出してみるのが有効です。例えば、特定の人間関係が苦痛だったのか、業務量が過大だったのか、あるいは完璧主義な考え方から自分を追い詰めていたのかなど、原因を特定することで具体的な対策が見えてきます。

復職や再就職を目指す際には、以前と同じ環境に戻るのではなく、負担を減らすための環境調整が欠かせません。具体的には、業務内容の変更・部署異動・在宅勤務の活用といった選択肢を検討します。

なお、適応障害は再発率が高い点に注意が必要です。一人で問題を抱え込まず、カウンセリングなどを通じてストレスとの付き合い方を学ぶなどすると、再発リスクの低下につながります。自分の限界を正しく理解し、無理のない範囲から徐々に活動を広げていく姿勢が、安定して働き続けるための近道になります。

疲れやすくて働き続けるのが辛いと感じたら、職場へ合理的配慮を求めよう

疲れやすくて働き続けるのが辛いと感じている人は、職場に合理的配慮を求めてみるのがおすすめです。合理的配慮とは、障がいや特性のある人が職場で直面する障壁を取り除くために、企業側が行う変更や調整のこと。2024年4月からは民間企業においても配慮の提供が義務化されていて、労働者が働きやすさを確保するための正当な権利として認められています。

配慮の内容は人によって異なりますが、疲れやすさを抱える人の場合は、具体的な環境調整を提案するのが一般的。例えば感覚過敏がある場合は、デスクの場所を静かな角の席に変更してもらう、休憩時間を細かく分割して取得することを認めてもらう、週の数日を在宅勤務に切り替えるといった調整が考えられます。

合理的配慮を求める際には、双方の建設的な対話が重要です。単純に「疲れるので配慮してほしい」と伝えるのではなく、どのような場面でどのような困難が生じているのか、どのようなサポートがあれば業務を遂行しやすくなるのかを具体的に提示することがポイントです。

さらに医師の診断書や専門家の意見書を添えることで、企業側も具体的な対応策を検討しやすくなります。そのうえで、企業としてできる範囲の対策を考えてもらい、意見をすり合わせていきましょう。自分に合った環境を整えることは、決してわがままではありません。持続可能な働き方を実現し、職場に貢献し続けるための前向きなステップとして捉えてください。

発達障害・適応障害が理由で働けない人は外部のサポート機関を使うのも手

発達障害・適応障害が理由で働けない人は、外部のサポート・支援機関を利用するのもよい方法です。例えば就労移行支援事業所では、自己理解を深めるためのワークや、ストレスマネジメントの習得、実際の業務を想定したトレーニングなど、個々の状態に合わせたプログラムが提供されています。また就職活動時には企業との間に立ち、必要な合理的配慮の内容を調整してくれるため、本人が直接交渉する心理的負担を大きく軽減できます。

ほかにも、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターなど、相談できる窓口は多岐にわたります。これらの機関では、働くことだけでなく、生活面でのリズム調整や体調管理についてもアドバイスを受けることが可能です。働けないのは努力が足りないからだと自分を責めず、支援機関への相談を積極的に検討してみてください。

あまりにも生活に支障が出るなら、医療機関への相談を検討してみて

強い疲れによって仕事だけでなく、食事や入浴といった日常生活さえままならない状態であれば、早めに医療機関を受診してください。心療内科や精神科などの専門医に相談することで、疲れやすい原因を医学的な視点で判断できます。例えば自分では性格の問題だと思っていたことが、実は脳の特性や、過度なストレスによる疾患の影響だったと判明することも少なくありません。

医療機関を受診するメリットは、現在の症状に診断がつくことで、適切な対処法が明確になる点。休養や環境調整が必要なのか、それとも精神療法や薬物療法を行うのかなどを医師が判断し、具体的な治療を進めていけます。また主治医による診断書は、職場で合理的配慮を受ける際や、福祉サービスを利用する際の公的な根拠として重要な役割を果たします。

なお「これくらいの疲れで病院へ行ってもいいのだろうか」という不安があるかもしれませんが、本人が辛いと感じている事実は十分な受診理由です。診察を受ける際は、いつから、どのような場面で疲れを感じるのか、仕事や生活にどのような影響が出ているのかをメモにまとめておくとスムーズに診断が進みますよ。

疲れやすい人は働けない人は、決して怠け者ではない

周囲が当たり前にこなしていることが自分にはできない、あるいは人一倍の休息が必要な状況が続くと、つい自分を怠け者だと思い込んでしまいがちです。しかし、障がいや特性による疲れやすさは、本人の意欲や精神力の強弱とは無関係に発生します。むしろ、他の人と同じ成果を出そうと、限界を超えて努力し続けてきた結果として、心身が悲鳴を上げているケースも珍しくありません。

疲れやすい体質や特性は、決して欠点ではなく、環境との折り合いがついていない状態を示しているに過ぎません。自分を怠け者と決めつけず、まずは頑張ってきた自分を認め、適切な休息とサポートを取り入れることが、新しい一歩を踏み出すための原動力になりますよ。