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就労継続支援B型の工賃(給料)はなぜ安い?高く稼げる事業所の見極め方とA型へのステップアップ術

就労継続支援B型の工賃(給料)はなぜ安い?高く稼げる事業所の見極め方とA型へのステップアップ術

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

就労継続支援B型の工賃が安い5つの構造的理由をわかりやすく解説。令和6年度の全国平均工賃は月額24,141円。工賃が高い事業所の見極め方7つのポイントや、A型へのステップアップ方法、障害年金など併用できる経済的支援制度も紹介。自分に合った方法で収入アップを目指すための情報をまとめました。

少しでも高く稼げる!工賃が高いB型事業所の見極め方7つのポイント

B型の工賃は事業所によって大きく異なり、中には月額3万円以上を支給している事業所もあります。ここでは、少しでも高い工賃を得るために押さえておきたい7つのポイントを解説します。

ポイント①:平均工賃月額の実績を確認する

B型事業所は平均工賃月額を自治体へ報告する義務があり、公的に記録されています。直近1〜3年の推移を見ると安定性がわかるため、全国平均の月額24,141円を上回っているかを一つの目安にしましょう。

ポイント②:作業内容・仕事の種類に注目する

工賃は生産活動の利益から支払われるため、事業所がどんな仕事をしているかが直結します。封入や袋詰めなどの軽作業だけでなく、パン・菓子の製造販売やIT関連業務など付加価値の高い事業を行う事業所は、工賃が高くなりやすい傾向にあります。

ポイント③:売上を生む「商品力」や「企業連携」があるか

地元企業からの継続的な受注や自治体との協働プロジェクトなど、外部との結びつきが強い事業所は安定した売上を確保しやすく、工賃も高い傾向があります。自主製品のブランド化やEC展開に取り組んでいるかも注目ポイントです。

ポイント④:利用者のスキルアップ支援体制があるか

写真付きのマニュアルや視覚支援ツールの活用、段階的な作業指導など、利用者の力を引き出す工夫がある事業所では作業効率が上がり、結果的に工賃の底上げにもつながっています。

ポイント⑤:工賃規程が明確で評価制度が整っているか

工賃の計算方法や支払日、能力給や皆勤手当の有無などを定めた「工賃規程」が整備されているかを確認しましょう。見学時に「工賃規程を見せてもらえますか?」と聞いて快く対応してくれる事業所は、運営の透明性が高い目安になります。

ポイント⑥:見学時にチェックすべき質問をまとめておく

見学は事業所の実態を確認する貴重な機会です。平均工賃月額や作業内容、通所の柔軟性、昼食代の負担、A型への移行実績などを事前にリストにしておき、当日しっかり質問しましょう。体験利用が可能であれば、数日間通って相性を確認するのもおすすめです。

ポイント⑦:工賃が高い事業所に多い作業を知っておく

IT・パソコン系の作業やカフェ運営、企業オフィスの清掃業務など、専門性や継続性のある仕事は工賃が高くなりやすい傾向があります。自分の得意分野や興味のある作業がある事業所を選ぶことで、モチベーションを保ちながら高い工賃を目指せるでしょう。

工賃の高さだけで事業所を選ぶと、作業の難易度や通所時間が合わず長続きしないケースもあります。「自分が無理なく通い続けられるか」を最優先に考え、そのうえで工賃が高い事業所を選ぶのがおすすめです。

相談支援専門員

B型からA型へステップアップする方法と成功のコツ

B型での通所に慣れてくると、「もっと収入を増やしたい」と考える方もいるでしょう。ここでは、A型への移行に必要な準備や成功のコツを解説します。

A型へ移行する前に確認すべき3つの条件

移行を検討する際は、以下の3点を自分自身に問いかけてみましょう。

  1. 体調が安定しているか:A型は雇用契約を結ぶため、決まった勤務日数・時間を守る必要がある
  2. 一定の作業スキルがあるか:A型ではB型より求められる質やスピードが上がる傾向にある
  3. 週4〜5日の通所が継続できるか:B型より勤務時間が増える場合が多い

すべて完璧に満たす必要はありませんが、主治医や支援員と相談しながら判断しましょう。

ステップアップに向けた具体的な準備

A型への移行は段階的な準備が成功のカギです。まずB型での通所日数を少しずつ増やし、安定した通所実績を積みましょう。同時に、作業時間の延長やPC操作など新しいスキルの習得にも取り組むと、A型での選択肢が広がります。

準備が整ってきたら、支援員や相談支援専門員と移行計画を立てます。ハローワークや自治体の障害福祉窓口でA型事業所の情報を集め、体験利用で自分との相性を確認しましょう。

就労移行支援を経由するルートもある

B型からA型への直接移行だけでなく、就労移行支援を間に挟む方法もあります。就労移行支援では工賃は出ませんが、専門的なスキル訓練や就活サポートを受けられるため、一般就労も視野に入れたい方には有力な選択肢です。

B型からA型への移行は急ぐ必要はありません。B型でしっかり準備できたからこそA型でもうまくいった、という方が多いです。自分のタイミングで一歩を踏み出しましょう。

就労支援員

工賃だけじゃない!B型利用中に活用できる経済的支援制度

B型の工賃だけで生活するのは難しいのが現状です。実際に利用している方の多くは、工賃と併せて経済的な支援制度を活用しています。ここでは、B型と併用できる主な制度を紹介します。

障害年金

病気やけがで生活に支障がある場合に受給できる年金です。B型の工賃を得ながら受給している方も多く、障害基礎年金2級で月額約6.5万円が目安です。工賃と合わせると月々の収入が大きく安定します。

生活保護との併用

B型の利用と生活保護は併用が可能です。工賃収入は収入認定されますが基礎控除が適用されるため、全額差し引かれるわけではありません。住居費や医療費の基盤が保障され、生活の安定につながります。

交通費・食費の補助制度

自治体によっては通所交通費の補助制度があり、事業所の送迎サービスや障害者手帳による公共交通機関の割引も活用できます。昼食代は事業所によって異なりますが、非課税世帯などは食材費のみの負担で済む場合があります。

自立支援医療制度

精神疾患などで通院中の方は、医療費の自己負担が原則3割から1割に軽減されます。定期的に通院しながらB型を利用している方には特に活用度の高い制度です。

障害者手帳による各種割引

障害者手帳を取得すると、税金の控除や公共交通機関の割引、携帯電話料金の割引プランなどを受けられます。日常の出費を抑えることで、実質的な手取りを増やす効果があります。

これらの制度は複数を組み合わせて活用することがポイントです。詳しくはお住まいの自治体の障害福祉課や、利用中のB型事業所に相談してみましょう。

就労継続支援B型の工賃(給料)とは?基本をおさらい

「どのくらいの収入が得られるのか」は、B型の利用を検討するうえで気になるポイントでしょう。まずは工賃の基本的な仕組みを押さえておきましょう。

工賃と給料(賃金)の違い

B型では利用者と事業所の間に雇用契約がなく、労働基準法に基づく賃金ではなく「工賃」が支払われます。工賃は生産活動に対する成果報酬という位置づけのため、最低賃金法の適用対象外です。一般企業やA型のように最低賃金が保障されない点が、給料との最も大きな違いです。

B型の平均工賃は月額いくら?

厚生労働省によると、令和6年度の全国平均工賃は月額24,141円です。都道府県によってばらつきがあり、最も高い徳島県で30,231円、最も低い山形県で19,621円でした。なお、A型の平均賃金は月額91,451円で、B型とは約6.7万円の差があります。

工賃の推移と近年の傾向

B型の平均工賃は近年上昇傾向にあります。背景には工賃向上計画の推進や、平均工賃実績に応じて基本報酬が変わる制度の導入、パン製造やカフェ運営など高付加価値の事業を取り入れる事業所の増加があります。令和2年度にコロナ禍で一時的に落ち込みましたが、その後は回復基調が続いています。

工賃に最低賃金はある?

B型には最低賃金の適用がありませんが、事業所全体の平均工賃月額が3,000円を下回ってはならないと法律で定められています。これは事業所の平均値であり、個人の工賃がこれを下回ること自体は制度上問題ありません。工賃の支払日は事業所ごとに異なるため、利用前に確認しておくと安心です。

就労継続支援B型の工賃はなぜ安いのか?5つの構造的理由

B型の全国平均工賃は月額24,141円。「なぜこんなに安いのか」と感じる方も多いでしょう。その背景には、制度や運営に根ざした5つの構造的理由があります。まずは土台となっている仕組みを、以下の画像で確認しましょう。

B型事業所の工賃が安い主な3つの構造的理由

制度上、どうしても工賃が伸び悩む仕組みとなっているのが現状です。さらに深く踏み込むと、なぜこの状況が改善されにくいのか、これらを含めた「5つの構造的理由」が浮かび上がってきます。詳しく見ていきましょう。

理由①:雇用契約がなく最低賃金が適用されない

B型は利用者と事業所の間に雇用契約がないため、最低賃金法の適用対象外です。法律上の下限は事業所全体の平均工賃月額3,000円のみで、一般企業の最低賃金とは大きな開きがあります。

理由②:生産活動の収益のみが財源

工賃は生産活動の売上から経費を引いた利益で支払われます。国からの給付費は原則使えないため、事業所の収益力がそのまま工賃の上限を決める構造です。

理由③:利用者の体調に合わせた柔軟な働き方が前提

週1日・1日数時間から利用できる柔軟さはB型の大きなメリットですが、通所日数や作業時間が安定しにくく、生産性を追求しにくい要因にもなっています。

理由④:軽作業中心で作業単価が低い

封入・袋詰め・シール貼りなど、多くの利用者が参加しやすい作業が中心です。こうした作業は1個あたり数円〜数十円と単価が低く、工賃が上がりにくい傾向があります。

理由⑤:事業所の経営力・営業力に左右される

企業との連携や自主製品の開発に積極的な事業所は高い工賃を実現していますが、限られた取引先に依存する事業所では工賃が伸び悩みがちです。どの事業所を選ぶかが収入に直結するため、事業所選びが重要になります。

就労継続支援A型との違い|工賃と賃金を徹底比較

就労継続支援にはA型とB型があり、「A型のほうが収入が多い」とは聞くものの、具体的な違いがわからない方も多いでしょう。ここでは両者の制度面・収入面の違いと、B型ならではのメリットを整理します。

A型とB型の制度上の違い

最も大きな違いは雇用契約の有無です。A型は雇用契約を結び最低賃金が保障される一方、B型は雇用契約がなく工賃として支払われます。A型は週4〜5日・1日4〜6時間の勤務が一般的で、社会保険に加入できる場合もあります。

収入面の具体的な差

令和6年度の全国平均で、A型の月額賃金は91,451円、B型の月額工賃は24,141円です。その差は約6.7万円、年間では約80万円にもなります。A型では社会保険加入や有給休暇の付与といった待遇面のメリットもあり、収入以外の差も小さくありません。

それでもB型を選ぶメリット

B型には週1日・1日数時間から通える柔軟性があり、体調に波がある方でも無理なく利用できます。また全国の事業所数はB型が15,159か所に対しA型は4,388か所と、B型のほうが選択肢が豊富です。体調に不安がある方や生活リズムを整えたい方は、まずB型からスタートし、安定してきたらA型へのステップアップを検討するのが現実的な進め方といえるでしょう。

よくある質問(Q&A)

就労継続支援B型の工賃や利用に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

Q. B型の工賃に税金はかかりますか?

原則として所得税の課税対象ですが、年間の工賃収入が103万円未満であれば基礎控除等の範囲内となり所得税はかかりません。全国平均工賃で計算すると年間約29万円のため、実質的に非課税となる方がほとんどです。

Q. B型に通いながら副業・アルバイトはできる?

制度上、B型利用中の副業を禁止する規定はありません。ただし体調への負担や、障害年金・生活保護への影響に注意が必要です。収入を増やしたい場合は、工賃の高い事業所への変更やA型へのステップアップを検討するほうが長期的には安定するでしょう。

Q. A型に移行して合わなかった場合、B型に戻れる?

A型からB型に戻ることは可能です。相談支援専門員と連携してサービス等利用計画を見直し、B型の利用申請を行います。以前通っていた事業所に空きがあれば、そこに戻ることもできます。

Q. 工賃が月額3,000円を下回る事業所は避けるべき?

事業所全体の平均工賃月額が3,000円を下回ることは法律で禁止されています。ただし個人の工賃が一時的に下回ることはあり得ます。工賃の額だけでなく、支援体制や作業内容など総合的に判断して事業所を選びましょう。

ポイント解説

ここまでの内容を踏まえ、B型の工賃に関して特に押さえておきたいポイントを整理します。

工賃が安い理由は「制度の構造」にある

B型の工賃が低いのは、雇用契約がない・最低賃金が適用されない・生産活動の収益のみが財源という制度の構造に起因しています。この仕組みを理解しておくことで、現状を冷静に受け止め次のアクションを考えやすくなります。

収入アップの選択肢は一つではない

工賃に不安を感じたときに取れる方法は複数あります。工賃が高いB型事業所への変更、A型へのステップアップ、就労移行支援を経由した一般就労、経済的支援制度の活用などです。これらは組み合わせることも可能で、たとえば支援制度を活用しながらB型で体調を整え、準備ができたらA型に移行するという進め方もあります。

事業所選びでは「工賃×自分との相性」が大切

工賃の高さは重要な判断材料ですが、それだけで選ぶと長続きしないリスクがあります。作業内容・通所のしやすさ・支援体制・事業所の雰囲気なども含め、複数の事業所を見学・体験利用したうえで総合的に判断しましょう。

焦らず段階的に進めることが成功の近道

まずはB型で安定した通所と生活リズムを確立し、体調と相談しながら少しずつステップアップしていくことが、結果として最も確実な収入アップへの道になります。

まとめ|工賃が安い理由を理解し、自分に合った方法で収入アップを目指そう

B型の全国平均工賃は月額24,141円で、工賃が低い背景には雇用契約がない・生産活動の収益のみが財源といった構造的な理由があります。

しかし、工賃が高い事業所を選ぶ・経済的支援制度を活用する・A型へステップアップするなど、収入を上げる方法は複数あります。大切なのは、今の自分の体調や状況に合った方法で無理なく一歩ずつ進んでいくことです。

まずは事業所の見学や支援機関への相談から始めて、自分らしく働ける環境を見つけていきましょう。

出典: