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【体験談あり】生活保護を受給しながら就労移行支援に通える?手続きとメリットを解説

【体験談あり】生活保護を受給しながら就労移行支援に通える?手続きとメリットを解説

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

生活保護を受給しながら就労移行支援に通えるのか不安な方へ。併用が可能な理由や利用料0円の仕組み、手続きの5ステップをわかりやすく解説。実際に就職を果たした3名の体験談や、収入申告・障害年金など併用時の注意点も紹介。自立への第一歩を踏み出すための情報をまとめています。

【結論】生活保護を受給しながら就労移行支援は利用できる

「生活保護を受給していると、就職活動は難しいのではないか」「将来的に自立できるか不安だ」。そんな悩みを抱えていませんか?
実は、生活保護を受給しながら就労移行支援を利用することは十分に可能です。むしろ、経済的な不安が解消されているからこそ、腰を据えて就職のスキルを磨くことに集中できる、最高の環境だと言えます。
まずは、制度を賢く利用して自立を目指すための「3つの重要ポイント」を整理しました。

生活保護と就労支援3つのポイント

いかがでしたでしょうか。生活保護世帯であれば、就労移行支援の利用料は原則無料です。さらに、就職が決まった際には「就労自立給付金」という心強い制度も用意されています。しかし、制度をスムーズに活用するためには、福祉事務所のケースワーカーと就労支援事業所の連携が不可欠です。
「生活保護からの脱却」を急ぐ必要はありません。まずは今の生活を安定させ、「自分らしい働き方」を見つけるためのトレーニングを積み重ねていくことが、結果的に最も早い自立への道になります。一緒に一歩ずつ準備を進めていきましょう。

「生活保護を受けながら就労移行支援に通えるの?」と不安に思っている方は少なくありません。結論からお伝えすると、生活保護受給中でも就労移行支援などの就労支援制度を併用することは可能です。ここでは、併用が認められる理由や就労移行支援の基本的な内容、気になる利用料について解説します。

生活保護と就労移行支援の併用が認められる理由

生活保護制度は最低限度の生活保障と自立支援を目的としています。就労支援制度の利用は「自立」に向けた積極的な一歩と位置づけられるため、併用が認められています。

就労移行支援は主に就労訓練を目的としており、施設によってはアルバイト等との両立が難しい場合があります。そのため、家族からの援助が受けられない、生活費に充てる貯金がないという方は生活に困窮する可能性があります。こうした状況にある方が就労支援を受けながら生活保護を受給することは、制度の趣旨に沿ったものです。

就労移行支援の利用を考えている段階でご相談いただくのがベストです。利用に向けた手続きのアドバイスだけでなく、交通費助成や障害福祉サービスの申請方法についてもご案内できます。

福祉事務所職員

つまり、生活保護は「働けるようになるまでの生活基盤を支える制度」、就労移行支援は「働くためのスキルを身につける制度」です。両方を活用することで、経済的な心配をせずに就職準備に集中できる環境が整います。

就労移行支援とは?サービス内容をわかりやすく解説

就労移行支援は、一般就労を目指す障害や難病のある方が、働くために必要なスキルを身につけるためのトレーニングや就職活動のサポートを受けられる通所型の障害福祉サービスです。主なサポート内容は以下のとおりです。

  • ビジネスマナーやPC操作などの職業訓練
  • 履歴書作成・面接対策などの就職活動サポート
  • 企業実習・体験就労の機会提供
  • 就職後の職場定着サポート

なお、就労移行支援と似た制度に就労継続支援がありますが、目的や対象者が異なります。以下の表で確認しておきましょう。

支援プログラム 対象 特徴
就労移行支援 一般就職を目指す方 2年間の職業訓練・就職活動サポート
就労継続支援A型 雇用契約が可能な方 労働契約を結び最低賃金が保証される
就労継続支援B型 雇用契約が困難な方 働き方や時間に柔軟性があり訓練中心

一般企業への就職を目指す方には就労移行支援が最も適しています。利用条件は原則18歳以上65歳未満で、障害や難病があり、一般企業での就労を希望していることです。

利用料は自己負担0円|生活保護受給者の費用面の安心

就労移行支援の利用を検討する際、気になるのが費用の問題です。生活保護世帯は月額利用料が0円です。利用料は前年の世帯収入に応じた負担上限月額が設定されており、生活保護受給世帯はこの上限額が0円に設定されています。

世帯の収入区分 月額負担上限額
生活保護受給世帯 0円
市町村民税非課税世帯 0円
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
上記以外 37,200円

出典:

交通費や昼食費など一部自己負担が発生する場合もありますが、多くの自治体では交通費助成や食事提供も行われています。費用面の不安が解消されることで、経済的な安定を確保しながら就労スキルを高めていける環境が整うでしょう。

生活保護を受けながら就労移行支援に通う5つのメリット

生活保護と就労移行支援の併用には、経済面・精神面の両方で大きな利点があります。ここでは併用で得られる5つのメリットを紹介します。

メリット①:自己負担0円で専門的な就労トレーニングが受けられる

生活保護受給世帯は就労移行支援の利用料が無料です。経済的な不安を抱えることなく、PC操作やビジネスマナーなど実践的な職業訓練に集中できます。お金の心配なく専門的なサポートを受けられることは、就職に向けた大きな後押しとなるでしょう。

メリット②:生活リズムが整い段階的に自立への準備ができる

就労移行支援に通所することで、生活リズムの安定から社会適応力の回復、職業スキルの習得、そして実習・体験就労へと段階的にステップアップできます。いきなりフルタイム就労を目指すのではなく、自分のペースで少しずつ社会復帰を進められる点が大きな魅力です。

メリット③:就職後に「就労自立給付金」を受け取れる

就職して生活保護から自立する際には「就労自立給付金」を受け取れる場合があります。単身世帯で最大10万円、複数世帯で最大15万円が支給され、新生活のスタートを支えるつなぎ資金となります。

メリット④:就職後も就労定着支援で安心のサポートが続く

就労移行支援を利用して就職した後も、「就労定着支援」で職場定着を継続的にサポートしてもらえます。支援期間は原則最大3年6ヶ月で、生活保護受給世帯の自己負担は月額0円です。職場の人間関係や業務適応、健康管理やキャリア相談まで幅広い支援を受けられるため、安定した就労生活を続けやすくなります。

メリット⑤:ケースワーカーと事業所の二重サポートが受けられる

生活保護と就労移行支援を併用することで、生活面はケースワーカーに、就労面は事業所スタッフに相談できる二重の支援体制が整います。それぞれの専門領域に応じた相談先が確保されていることは大きな安心感につながります。

就労支援への参加が直ちに生活保護費の減額や打ち切りにつながることはありません。不安がある場合は、担当ケースワーカーに遠慮なくご相談ください。

生活保護担当ケースワーカー

【体験談】生活保護から就労移行支援を経て就職した方の事例

ここでは、実際に生活保護を受給しながら就労移行支援を利用し、就職を果たした方の事例をご紹介します。

体験談①:うつ病で離職→事務職に再就職した40代男性Aさん

Aさんは職場の人間関係でうつ病を発症し、退職後に生活保護を受給。症状が落ち着いた頃、ケースワーカーの勧めで就労移行支援事業所の利用を開始しました。

最初は週2日、半日だけの通所からスタートしました。約3ヶ月で週5日通所できるようになり、自分のペースで始められたことが続けられた大きな要因です。

Aさん(40代男性)

約1年間の訓練を経て、障害者雇用枠で事務職に就職。就労自立給付金を受けながら生活保護から脱却しました。

体験談②:発達障害の特性を活かしIT企業に就職した30代女性Bさん

Bさんは発達障害(ASD)の診断後、就職活動がうまくいかず生活保護を申請。まず就労継続支援B型で自分のペースに合った作業から始め、自信を取り戻した後に就労移行支援へステップアップしました。自己理解を深める訓練を通じて、データ分析や論理的思考といった強みを発見し、IT企業のデータ入力・分析部門への就職に成功しました。

体験談③:統合失調症と向き合いながら軽作業職に就いた20代男性Cさん

Cさんは10代後半で統合失調症を発症し、就労経験がないまま生活保護を受給していました。主治医とケースワーカーの勧めで就労移行支援の利用を決意。体調の波がありながらも、スタッフが主治医やケースワーカーと連携して無理のないスケジュールを組んでくれたことで通所を継続できました。約1年6ヶ月の訓練を経て、障害者雇用枠で物流倉庫の軽作業職に就職しています。

体験談から見える成功のための3つの共通ポイント

3名の事例に共通する成功のポイントは以下の3つです。

  1. 段階的な回復と訓練:小さなステップから無理なく始めること
  2. 自己理解の深化:強みと弱みを理解し適職を見つけること
  3. 継続的な支援の活用:就職後も定着支援を利用すること

障害の種類や年齢にかかわらず、自分に合った支援を受けながらステップアップしていくことで、就職・自立は十分に実現可能です。

生活保護受給者が就労移行支援を利用するための条件

生活保護と就労移行支援を併用するには、それぞれの制度の条件を満たす必要があります。ここでは利用条件をわかりやすく整理します。

対象となる障害の種類と診断の有無

就労移行支援の対象となる主な障害・疾患は以下のとおりです。

  • 身体障害:視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害など
  • 知的障害:日常生活や就労に支障がある場合
  • 精神障害:うつ病、統合失調症、双極性障害など
  • 発達障害:ASD、ADHD、学習障害など
  • 難病:障害者総合支援法の対象となる疾患

障害者手帳がなくても利用できるケース

障害者手帳がなくても、医師の診断書などで障害や難病の状況が確認できれば利用できる場合があります。ただし自治体によって判断基準が異なるため、手帳を持っていない方はまず市区町村の障害福祉課に相談しましょう。

年齢・就労状況などその他の利用条件

就労移行支援を利用するための主な条件は以下のとおりです。

  • 年齢:原則として18歳以上65歳未満
  • 就労の意思:一般企業での就労を希望していること
  • 現在の就労状況:一般企業に雇用されていないこと
  • 利用期間:原則として最大2年間

生活保護の受給条件もあわせて確認しよう

併用するためには、生活保護の受給条件も満たしている必要があります。主な条件は以下の4つです。

  1. 世帯収入が最低生活費を下回っている:最低生活費は自治体によって異なります
  2. やむを得ない事情で働けない:医師の診断書や障害者手帳による証明が必要です
  3. 親族などからの援助が受けられない:親族の援助は生活保護より優先されます
  4. 活用できる資産を持っていない:ただし最低限の生活に必要な物は処分不要です

条件を満たしているか判断が難しい場合は、まず福祉事務所にご相談ください。個別の状況に応じて柔軟に対応いたします。

福祉事務所職員

「自分は対象外かもしれない」と決めつけず、まずは相談してみることをおすすめします。

【手続きの流れ】生活保護受給中に就労移行支援を利用する5ステップ

生活保護を受給しながら就労移行支援を利用するには、いくつかの手続きが必要です。ここでは実際の流れを5つのステップで解説します。

ステップ①:担当ケースワーカーへの相談

最初のステップは担当ケースワーカーへの事前相談です。就労移行支援を利用したい意思、現在の障害や疾患の状況、体調面での不安などを伝えましょう。ケースワーカーへの無断利用は厳禁です。必ず事前に相談してください。

ステップ②:障害福祉サービス受給者証の申請・取得

就労移行支援を利用するには「障害福祉サービス受給者証」が必要です。市区町村の障害福祉課で申請します。申請には障害者手帳または医師の診断書などが必要です。取得までに1〜2ヶ月かかるため、早めに手続きを始めましょう。

ステップ③:就労移行支援事業所の見学・体験

受給者証の申請と並行して、通いたい事業所を探します。通いやすさ、自分の障害特性に合ったプログラムの有無、交通費補助や昼食提供の有無などを確認し、少なくとも2〜3か所は見学・体験することをおすすめします。

ステップ④:利用計画の作成と契約

事業所が決まり受給者証が交付されたら、相談支援専門員によるサービス等利用計画の確定と事業所との契約を行います。個別支援計画は利用者の希望や体調に合わせて作成されるため、自分の希望は遠慮なく伝えましょう。

ステップ⑤:通所開始後にやるべきこと

通所が始まった後も、以下の点を心がけましょう。

  • ケースワーカーへの定期的な状況報告
  • 収入が発生した場合の速やかな申告
  • 体調に合わせた無理のないペースでの通所

就労支援への参加が直ちに生活保護費の減額や打ち切りにつながることはありません。焦らず自分のペースで就職を目指してください。

就労移行支援事業所スタッフ

全体として相談開始から通所開始までおおむね2〜3ヶ月程度が目安です。「利用したい」と思ったら早めに動き始めましょう。

自分に合った就労移行支援事業所の選び方

就労移行支援事業所は全国に数多くあり、プログラム内容や得意分野が事業所ごとに大きく異なります。自分に合わない事業所を選ぶと通所が続かないケースもあるため、慎重に選びましょう。

事業所選びで確認すべき4つのチェックポイント

事業所を比較する際は、以下の4つのポイントを意識しましょう。

  1. 通いやすさ:自宅からの所要時間や交通費の負担。生活保護受給中は交通費が自己負担のため、アクセスの良さは重要です
  2. 障害特性に合ったプログラム:IT特化型、事務スキル型、生活訓練併用型など、事業所によって強みが異なります。自分が身につけたいスキルに合った事業所を選びましょう
  3. 費用面のサポート:交通費補助や昼食提供の有無は事業所ごとに異なります。見学時に「生活保護を受給していますが、費用面のサポートはありますか?」と確認しましょう
  4. 就職実績と定着率:年間の就職者数や就職後の定着率は、事業所の支援力を判断する客観的な指標になります

見学・体験利用を複数の事業所で行うべき理由

事業所選びで最も避けたいのは、1か所だけ見学して即決することです。事業所の雰囲気やスタッフとの相性は実際に足を運んで初めてわかるものです。少なくとも2〜3か所は見学・体験し、比較検討しましょう。

生活保護受給者の支援実績がある事業所を選ぶコツ

生活保護受給者の支援に慣れた事業所であれば、制度特有の手続きや注意点を踏まえたきめ細かなサポートが期待できます。見学時に「生活保護を受けている方はどのくらい利用していますか?」「ケースワーカーとの連携はどのように行っていますか?」と質問してみましょう。

事業所選びは就職成功を左右する重要なステップです。焦って決める必要はありません。ケースワーカーや相談支援専門員にも意見を聞きながら、じっくり選んでください。

相談支援専門員

併用する際に知っておくべき注意点

生活保護と就労移行支援の併用には多くのメリットがありますが、知っておかないとトラブルにつながる注意点もあります。ここでは特に気をつけるべき4つのポイントを解説します。

交通費・昼食代など実費の自己負担が発生する場合がある

生活保護受給世帯は就労移行支援の利用料が無料ですが、交通費や昼食代などは原則自己負担です。事業所によっては交通費補助や昼食提供を行っているところもあるため、見学時に確認しておきましょう。

工賃・収入が発生した場合の収入申告の義務

企業実習などで工賃や手当を受け取った場合、金額の大小にかかわらず福祉事務所への申告が必要です。なお、就労で得た収入には一定の控除が認められるため、全額が生活保護費から差し引かれるわけではありません。

収入申告を怠ると不正受給とみなされ、保護の停止や返還請求の対象となる可能性があります。小さな収入でも必ず申告しましょう。

ケースワーカー

障害年金を受給している場合の取り扱い

障害年金と生活保護は同時に受給可能ですが、障害年金は「収入」として認定され、その分生活保護費が減額されます。ただし、障害年金1級・2級の場合は「障害者加算」が適用され、月額1.7万〜2.6万円程度の実質増額になるケースもあります。障害年金の申請を検討している方は、必ず事前にケースワーカーに相談してください。

ケースワーカーへの無断利用はNG|必ず事前相談を

併用するうえで最も重要な原則は「ケースワーカーへの事前相談」です。就労移行支援の利用開始時、収入が発生したとき、障害年金の申請を考えているときなど、生活状況に変化がある場合は必ず報告しましょう。就労支援への参加が直ちに保護費の減額や打ち切りにつながることはなく、個別の状況に応じて柔軟に対応してもらえます。

よくある質問(FAQ)

生活保護と就労移行支援の併用について、よく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

就職したら生活保護はすぐに打ち切られますか?

すぐに打ち切られることはありません。収入が最低生活費を安定的に上回って初めて廃止が検討されます。就職後も3ヶ月から半年程度は保護の「停止」という形で見守り期間が設けられ、その間に再度困窮しても速やかに保護費が支給されます。

就労移行支援に通っても就職できなかったらどうなる?

生活保護が打ち切られることはありません。就労継続支援A型・B型への移行や、別の就労移行支援事業所の利用といった選択肢があります。ケースワーカーや事業所スタッフと相談しながら次のステップを検討しましょう。

障害者手帳がなくても利用できますか?

医師の診断書などで障害や難病の状況が確認できれば、利用できる場合があります。まず市区町村の障害福祉課に相談してみましょう。

生活保護と障害年金は同時に受給できますか?

同時に受給可能です。ただし障害年金は「収入」として認定され、その分生活保護費が減額されます。障害年金1級・2級の場合は「障害者加算」により実質増額になるケースもあります。

就労移行支援の利用期間(原則2年)を延長できますか?

体調の変動や就職が間近であるなど、やむを得ない事情がある場合は最大1年間の延長が認められるケースもあります。利用期間の残りが少なくなった段階で、事業所スタッフやケースワーカーに早めに相談しましょう。

まとめ:生活保護受給中でも就労移行支援で自立への一歩を踏み出そう

本記事で解説したとおり、生活保護を受給しながら就労移行支援を利用することは可能です。利用料は0円で、段階的に就労スキルを身につけながら自立を目指せます。就職後も就労定着支援や就労自立給付金といった制度が用意されており、安心して新生活をスタートできる仕組みが整っています。

「自分にもできるだろうか」と不安に思う方は、まず担当ケースワーカーへの相談や、気になる事業所への見学予約から始めてみてください。小さな一歩が、あなたの未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。