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吃音(どもり)とは?症状・原因からセルフチェックの方法まで解説

吃音(どもり)とは?症状・原因からセルフチェックの方法まで解説

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

吃音(どもり)とは、連発・伸発・難発を中核症状とする発話障害です。本記事では、症状の種類や出やすい場面、発達性吃音・獲得性吃音といった原因、大人・子ども向けのセルフチェック方法、相談先や治療法、周囲の関わり方まで分かりやすく解説します。

吃音(きつおん)とは

吃音とは、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。本人は話す内容が決まっているのに、音を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉が出せず間があいてしまったりします。こうした話し方が発話の流暢さを著しく乱すほど頻繁にみられる場合に「吃音」とされます。診断名としては、ICD-11では「発達性発話流暢症」、DSM-5-TRでは「小児期発症流暢症(吃音)」として位置づけられています。

吃音は「性格が緊張しやすいから」「親の育て方が悪いから」起こるものではありません。本人の努力不足ではない、という理解が出発点です。

言語聴覚士

出典:

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「どもり」との違いと呼び方の変遷

指す状態は同じですが、「どもり」には差別的な意味合いがあるため、現在は「吃音」と呼ぶのが一般的です。医療や教育の現場では「吃音症」「小児期発症流暢症」という用語も使われます。

吃音のある人はどのくらいいる?(発症率・有症率)

吃音は100人に1人程度が症状をもつといわれ、珍しい状態ではありません。数値は「発症率」と「有症率」で異なります。

指標 数値の目安
幼児期の発症率 約8〜11%程度
3歳までの累積発症率(日本) 8.9%
学童期以降〜成人の有症率 0.8%程度

幼児期と成人で差があるのは、自然に改善するケースが多いためです。

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吃音は「発達障害」に含まれる?医学的な位置づけ

発達性吃音は、2005年に施行された発達障害者支援法の対象に含まれています。吃音による困難を記載した医師の診断書または意見書によって精神障害者保健福祉手帳が交付されることがあり、症状が重度で音声言語のみでの意思伝達が困難と認定された場合は身体障害者手帳の対象となることもあります。つまり、支援制度を利用できる状態です。また、吃音のある人は社交不安症の合併率が高いことも報告されています。

出典:

吃音の主な症状(3つの中核症状)

吃音に特徴的な中核症状には、次の3つがあります。

吃音の主な3つの症状
症状 例
連発(繰り返し) 「か、か、からす」
伸発(引き伸ばし) 「かーーらす」
難発(ブロック) 「・・・・からす」

連発(繰り返し):「ぼ、ぼ、ぼくは」

語頭の音を繰り返す症状で、発症してすぐの幼児期に多く見られます。なお「わたしは、わたしは」のような語全体の繰り返しは吃音の症状ではなく、通常の発達過程で見られるものです。ここを混同すると必要のない心配につながるため、繰り返しが「語の一部か、語全体か」を見分けることが大切です。

伸発(引き伸ばし):「ぼーーくは」

音を意図せず長く伸ばす症状です。ゆっくりに感じられるため、聞き手が話を遮ったり続きを促したりしがちですが、本人の負担になります。

難発(ブロック):最初の言葉が出てこない

最初の音が出ず詰まる症状で、思春期以降はこれが中心になります。

随伴症状:まばたき・体の動き・力み

声を出そうと顔や身体に力が入り、顔をしかめる、目を固くつぶるなどの動きが出ることがあります。

言い換えや回避行動という「見えにくい症状」

言いにくい言葉を言い換えたり、話す場面自体を避けたりする工夫です。吃音は目立たなくなりますが、実際には吃音が出ないかを日々警戒しながら過ごすことになるため、目立たなくなる分だけ悩みを抱え込みやすくなります。

出典:

うまく隠せている人ほど疲弊しているケースがあります。

公認心理師

吃音の症状が出やすい場面・出にくい場面

吃音は常に出るわけではなく、状況によって症状が出やすかったり出にくくなったりするのが大きな特徴です。

症状が強く出やすい状況(電話・自己紹介・音読・発表など)

主に次のような場面で出やすくなります。

  • 発表やプレゼンなど、緊張や不安を感じた時
  • 指摘されるなどして吃音を気にしすぎた時
  • サ行など、苦手な行の言葉を言う時
  • 電話や不意の質問など、心の準備ができない時

症状が出にくい状況(独り言・歌・複数人での斉読など)

歌を歌うとき、2人で声を合わせるとき、独り言のときなどは、一時的に流暢になる人が多いとされます。聞き手からの評価を意識せず、発話のタイミングを自分で作らなくてよい場面が共通点です。

症状に波があるのはなぜか

調子の良い状態・悪い状態が数週間〜数ヶ月続くことも多く、これを「波」と呼びます。特に幼児期は変動が大きく、全く症状が出ない時期もあります。また、不安が話しにくさを増し、それがさらに不安を強める悪循環も影響します。

話せたり話せなかったりするのは、気の持ちようではなく吃音の特徴です。

耳鼻咽喉科医

吃音の原因

吃音は、発症時期や背景によって大きく2つに分類されます。うち9割以上は発達性吃音です。

発達性吃音:幼児期に始まるタイプ

2〜4歳をピークに、幼児が2語文以上を話す時期に発症することがほとんどです。複数の要因が影響し合って発症すると考えられています。

体質的要因(遺伝的要素)

子ども自身が生来的にもつ、吃音になりやすい体質です。発症に関わる要因のうち、この体質的要因が占める割合が最も大きく、7〜8割程度と報告されています。2000年頃以降の双子研究・脳研究・遺伝子研究によって明らかになってきた知見です。

出典:

発達的要因・環境的要因

運動・認知・言語・情緒が爆発的に発達する時期の影響や、周囲の人との関係、生活上の出来事などが重なります。

「親の育て方が原因」は誤解

親の接し方や愛情不足を原因とする説は、科学的根拠のない誤った情報として否定されています。

獲得性吃音:後天的に生じるタイプ

主に10代後半以降に発症します。

種類 原因
獲得性神経原性吃音 脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷、薬剤など
獲得性心因性吃音 強いストレスや心的外傷体験

責任の所在を探すより、これからの関わり方に目を向けましょう。

言語聴覚士

大人になってから急に吃音が出るのはなぜ?

成人期の吃音は、幼少期からの吃音が続いているケースと、大人になってから発症するケースに分けられます。

子どもの頃の吃音が再発・顕在化するケース

「急に出た」と感じても、以前からの吃音が目立ってきただけの場合があります。

  • もともと症状には数週間〜数ヶ月単位の「波」がある
  • 進学・就職など環境の変化で悪化することがある
  • 言い換えや暗記といった工夫が通用しなくなる

病気やケガ、心理的ストレスが引き金になるケース

獲得性吃音では、脳卒中・脳腫瘍・頭部外傷などで生じる神経原性吃音と、災害やハラスメントなど強いストレスが引き金となる心因性吃音があります。

受診を検討したほうがよいサイン

次のような場合は、自己判断で様子を見るのは避け、早めに受診してください。脳や身体の病気が背景にある獲得性吃音の可能性があります。

  1. 短期間で急に言葉が出にくくなった
  2. 頭部打撲や服薬開始と時期が重なる
  3. しびれやろれつの回りにくさを伴う

まず身体的な原因がないかを確認することが先決です。

精神科医

年齢・時期別に見る吃音の特徴と変化

吃音は年齢によって現れ方や課題が異なります。

時期 症状の中心
幼児期 連発(繰り返し)が多い
学童期 難発が目立ち始める
思春期以降 難発が中心になる

幼児期(2〜5歳):発症が最も多い時期

繰り返しが多く、症状の変動が大きい時期です。4歳頃になると自分でも「言いにくい」と気づき始めます。

学童期(小学生):自覚と回避が生まれる時期

先生の対応や友達関係に大きく影響されます。からかいや音読の失敗経験が重なると、吃音を否定的に捉えるようになり、難発が強まったり言い換えが増えたりする吃音の進展(症状や悩みが悪化していくこと)につながることがあります。

思春期(中高生):進学・人間関係での悩み

失敗体験から会話や社交を避けるようになり、症状より心理面の課題が大きくなります。

成人期:就職・仕事の場面での困りごと

面接や電話対応など避けにくい場面が増えます。職場の理解や支援制度の活用が重要です。

「話せているか」より「避けていないか」を見てあげてください。

公認心理師

吃音のセルフチェック方法

前提として、吃音は自己診断できません。ネット上のチェックリストは参考にはできても、最終的な判断には医師の診察が必要です。「相談すべきかの目安」として活用してください。

大人向け:吃音セルフチェックリスト

話し方だけでなく、行動や気持ちの面も確認しましょう。

  • 語頭の音を繰り返す(連発)ことがある
  • 音を引き伸ばす(伸発)ことがある
  • 最初の言葉が出ず詰まる(難発)ことがある
  • 言いにくい単語を、言いやすい別の言葉に言い換えている
  • 話し始めるときに顔や体に力が入る
  • 電話・来客対応・自己紹介など、急に話す場面を避けている
  • 話す前に不安や恥ずかしさを感じる
  • 話しにくさのために、進学・就職・役割の選択を変えたことがある

目安として、上の3つ(連発・伸発・難発)のいずれかが当てはまり、かつ生活や仕事で困っている場面がある場合は、相談を検討する段階です。当てはまる数の多さよりも、日常でどれだけ支障が出ているかを基準にしてください。

子ども向け:保護者が確認したいチェックポイント

連発・伸発・難発に加えて、力みや体の動き(随伴症状)、話すことへの気持ちの変化も見てみましょう。

  • 語頭の音を繰り返す、引き伸ばす、言葉が出ずに間があく
  • 話すときに顔をしかめる、目を強くつぶる、体を動かすなどの力みがある
  • 「言いにくい」「うまく言えない」と本人が口にする
  • 話すのを途中でやめる、話しかけられても答えたがらない場面が増えた
  • 園や学校で話し方を指摘された、からかわれた経験がある

なお、語の一部ではなく「わたしは、わたしは」のように語全体を繰り返すのは吃音の症状ではありません。判断に迷う場合も含め、気になる様子があれば、ことばの教室や小児を扱う言語聴覚士に相談してください。

医学的な診断基準(ICD-11・DSM-5-TR)の考え方

医療機関では、ICD-11の「発達性発話流暢症」やDSM-5-TRの「小児期発症流暢症(吃音)」に基づいて診断されます。いずれも、判断の軸はおおむね次の3点です。

  1. 連発・伸発・難発などの非流暢さが、年齢や言語能力に見合わない頻度で続いていること
  2. 話すことへの不安や、学業・仕事・対人関係への支障が生じていること
  3. 脳の損傷や他の疾患による発話の症状ではないこと(獲得性吃音との区別)

チェックリストで確認できるのは1点目の一部にすぎません。3点目の見極めには医学的な検査が必要で、ここが自己診断できない理由です。

セルフチェックの結果を見るときの注意点

吃音には調子の良い時期・悪い時期の「波」があるため、1日や1週間の様子だけでは判断できません。大切なのは、症状の多さよりも日常でどれだけ困っているかです。

白黒つけようとしなくて大丈夫。「困っているかどうか」が相談の基準です。

公認心理師

吃音の相談・診断はどこで受けられる?

吃音は複数の窓口にまたがるため、目的に応じて相談先を選びましょう。吃音治療に強い医療機関は多くないため、事前確認が大切です。

受診先の目安(耳鼻咽喉科・小児科・精神科・リハビリテーション科)

受診先 特徴
耳鼻咽喉科 吃音外来を設ける施設もある
精神科・心療内科 不安など心理面が強い場合に
小児科 子どもの相談先(要事前確認)
リハビリテーション科 言語聴覚士による評価・訓練を受けられる

言語聴覚士(ST)が行う評価の内容

発話の特徴だけでなく、気持ちや行動、社会参加への影響まで包括的に評価し、適した支援やトレーニングを提案します。

子どもの相談窓口(発達支援センター・ことばの教室など)

医療機関以外にも、子どもの吃音を相談できる窓口があります。

  • ことばの教室(小・中学校の通級指導教室)…在籍校や教育委員会を通じて相談する
  • 療育センター・児童発達支援センター…就学前の子どもの発達相談に対応
  • 市区町村の保健センター…乳幼児健診をきっかけに相談できる
  • 小児を扱う言語聴覚士…評価と家庭での関わり方の助言を受けられる

就学前は保健センターや療育センター、就学後はことばの教室が入口になりやすく、必要に応じて医療機関につないでもらえます。

大人の相談窓口(発達障害者支援センター・自助団体など)

大人の場合は、医療機関のほかに公的窓口と自助団体という選択肢があります。

  • 発達障害者支援センター…生活・就労を含めた相談ができる都道府県等の窓口
  • 市区町村の福祉課…精神障害者保健福祉手帳の申請窓口(診断書・意見書の用紙もここで入手)
  • 自助団体…同じ吃音のある人と体験を語り合える場。1965年発足の「言友会」が最も歴史が長く、若者向けや就労支援に取り組む団体もある

「治療」だけが目的でなくても構いません。同じ経験をした人と出会うこと自体が、吃音の捉え方を変えるきっかけになることも報告されています。

吃音は医師だけで完結しません。多職種の関わりが有効です。

耳鼻咽喉科医

吃音の治療・改善のためのアプローチ

確立された治療法はありませんが、症状を和らげる方法は存在します。環境調整・言語訓練・カウンセリングなどを、年齢や状態に合わせて組み合わせるのが一般的です。

環境調整(話しやすい状況をつくる)

周囲の対応を変える方法です。話を遮らず最後まで聞く、急かさない、からかいが起きないよう理解を促すことが中心になります。

言語訓練・発話トレーニング(流暢性形成法・吃音緩和法など)

言語聴覚士のもとで行います。取り組みやすい方法として、次のものがあります。

  1. 腹式呼吸で緊張を和らげる
  2. ゆっくり発声し、徐々に速さを調節する
  3. 子ども向けのリッカムプログラム

認知行動療法などの心理的アプローチ

不安が強い場合はカウンセリングが役立ちます。自助団体で仲間と出会うことが変化のきっかけになることもあります。

薬物療法が検討される場合

吃音に対して正式に承認された薬剤はなく、薬だけで治すことは難しいため、不安や併存する症状への対処として言語療法などと併用する形で検討されます。

「治る」のか?改善の見通しと付き合い方

幼児期に発症した場合、その多くは成長とともに自然に治ります(具体的な割合は後述のQ&Aで解説します)。一方、青年期以降まで続いている場合は、症状をなくすことだけを目標にせず、「吃音とうまく付き合っていく」方法を支援者と一緒に考えることが大切だとされています。

まず安心して話せる場をつくること。順番を逆にすると悪化を招きます。

言語聴覚士

子どもの吃音への家庭・園・学校での対応

子どもの吃音では、本人へのはたらきかけ以上に周囲の対応が大きな意味をもちます。

保護者が心がけたい接し方

心配そうな表情をせず、話の内容に耳を傾けましょう。『どもってもよいから、たくさんおしゃべりしてね』と伝え、親子で吃音について話せる関係づくりが大切です。

やってはいけない声かけ・対応

避けたい対応 理由
「ゆっくり」「落ち着いて」 本人は既に落ち着いており、負担になる
先回りして言葉を遮る 話す意欲をそぐ
気づかない振りをする 子どもを孤立させる

保育園・幼稚園・学校への働きかけ

次の3点を伝え、理解と啓発の機会を設けてもらいましょう。

  1. 吃音は病気ではないこと
  2. 緊張や家庭環境のみから生じるものではないこと
  3. わざとやっているわけではないこと

からかい・いじめが起きたときの対処

先生に協力を求め、クラスへの説明や理解の機会をつくってもらいましょう。放置すると、話すこと自体への不安が強まり、症状や悩みの悪化につながることがあります。

周囲の受け入れが良ければ、伸び伸び話せる子も多くいます。

小児科医

大人の吃音と仕事・日常生活

成人期は、面接・会議・電話対応など話すのを避けにくい場面が多く、ストレスを感じやすくなります。

職場で起こりやすい困りごと(電話・会議・接客)

特に困りやすいのは、心の準備ができない場面です。

  • 電話の応対が発生した時
  • 来客時の対応
  • 不意に意見を求められた時

自分でできる工夫と職場への伝え方

ジェスチャーや資料、チャットなども活用し、「滑らかに話すこと」ではなく「伝えること」に意識を向けるのがポイントです。上司や同僚に相談することで、配置や電話業務での配慮を得られることもあります。

吃音のある人が働きやすい仕事・環境の選び方

「話す量」より「話す場面をコントロールできるか」で見極めましょう。文書中心のやり取りが認められる職場かどうかも重要です。

利用できる支援制度(障害者手帳・障害者雇用・就労移行支援など)

吃音は支援制度の対象となり得ます。手帳を取得すると、選べる働き方の幅が広がります。

  1. 医師の診断書・意見書により精神障害者保健福祉手帳が交付されることがある
  2. 手帳があれば障害者雇用枠での応募が可能になる
  3. 就職前の準備段階では就労移行支援を利用できる

手帳の申請用紙は市区町村の福祉課で入手できます。取得は義務ではないため、配慮を得たい場面があるかどうかで判断すれば十分です。

大切なのは職種名より“予測できる働き方かどうか”です。

就労支援員

周囲の人が知っておきたい吃音のある人との関わり方

「障害」となるかどうかは本人の状態だけでなく、周囲がゆったり聞く環境を整えられるかで総合的に決まります。

言葉を先取りせず最後まで聞く

相手のペースに合わせ、さえぎらずに聞きましょう。「〇〇ってことでしょ?」と代弁するのは、話す意欲をそぎ、意図と違う解釈になることも多くあります。

  • 話を途中で遮らない
  • 急かさずに待つ
  • 話し方でなく「内容」に反応する

「落ち着いて」「ゆっくり」と言わないほうがよい理由

本人はすでに落ち着いて話そうとしているため、こうした声かけは余計なプレッシャーになります。笑われたり注意された経験は、話すこと自体への不安と結びついてしまいます。代わりに、次のような反応が有効です。

  • 言い終わるまで表情を変えず、うなずいて待つ
  • 話し方に触れず、内容に対して返事をする
  • 吃音の話題が本人から出たときは、そらさずに聞く

職場・学校でできる配慮の具体例

障害者差別解消法により、学校や職場での差別的な取り扱いは禁止されており、合理的配慮を求めることができます。2024年4月1日からは、民間の事業者にも合理的配慮の提供が法的に義務づけられました(従来は努力義務)。求める際に、医師の診断書や言語聴覚士の報告書の提出を求められる場合があります。

  1. 電話対応を減らし文書でのやり取りを活用
  2. 発表や音読への配慮、面接時間の延長
  3. クラス内での理解・啓発の機会づくり

出典:

待つ数秒が「この人には安心して話せる」という信頼を生みます。

言語聴覚士

吃音に関するよくある質問(Q&A)

誤解が根強いテーマもあるため、正しい情報を確認しておきましょう。

吃音は自然に治ることがある?

幼児期に発症した場合、多くは自然に治ります。自然治癒率は、発症から2年後までで約31%、3年後までで約63%、4年後までで約74%と報告されています。ただし発症から4年以上経つ(あるいは8歳以上になる)と、自然に治る確率は下がっていきます。

出典:

吃音はうつるもの?

うつりません。「真似すると吃音になる」は俗説です。双子研究や遺伝子研究により、生まれ持った体質的要因が原因の多くを占めることが分かっています。

吃音と場面緘黙・早口症(クラタリング)の違いは?

状態 特徴
吃音 連発・伸発・難発が中核症状
場面緘黙 特定の場面で話せなくなる
早口言語症 話す速さやリズムの乱れが中心

吃音があると就職に不利になる?

不利とは限りません。制度上の後ろ盾もあります。

  1. 上司や同僚に相談し配慮を得る
  2. 障害者手帳を取得し障害者雇用枠を利用する

「こういう配慮があれば力を発揮できます」まで伝えると評価は変わります。

就労支援員

まとめ

吃音は、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。本記事の要点を整理します。

  • 症状…連発・伸発・難発が中核。加えて随伴症状や、言い換え・回避という見えにくい症状もある
  • 原因…9割以上は発達性吃音で、体質的要因が7〜8割程度を占める。親の育て方が原因ではない
  • 経過…幼児期に発症した場合、発症4年後までに約74%が自然に治るとされる

吃音は話し方だけの問題ではありません。不安が話しにくさを増し、それがさらに不安を強める悪循環を断ち切ることが支援の重要な側面とされています。

気になる症状があれば、耳鼻咽喉科や精神科、ことばの教室などに相談しましょう。発達性吃音は発達障害者支援法の対象で、手帳の交付や合理的配慮を求めることもできます。

そして、話しやすさは周囲の環境によっても大きく変わります。遮らずに最後まで聞く、急かさず待つ。今日からできる配慮が、本人にとって何よりの支えになります。

「なくすこと」だけがゴールではありません。どもっても伝えられる状態を目指しましょう。

言語聴覚士