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特別障害者手当とは?精神・発達障害でも対象になる基準と申請の壁を徹底解説

特別障害者手当とは?精神・発達障害でも対象になる基準と申請の壁を徹底解説

著者: フラカラ編集部

このコラムのまとめ

特別障害者手当とは、著しく重度の障害がある在宅の方に月額30,450円が支給される国の制度です。精神障害や発達障害でも対象になる可能性があります。本記事では認定基準や申請方法、障害年金との併給、診断書作成のコツ、所得制限など申請時の壁と突破策まで専門的な視点からわかりやすく解説します。

精神障害・発達障害でも特別障害者手当の対象になるのか

特別障害者手当と聞くと、身体障害や重度の知的障害を持つ方向けの制度というイメージが強いかもしれません。しかし結論から言えば、精神障害や発達障害であっても対象になる可能性はあります。ただし、認定のハードルは高く、制度の仕組みを正しく理解した上で申請に臨むことが重要です。ここでは精神・発達障害の方が気になる「自分は対象になるのか」を解説します。

認定基準における「精神の障害」の位置づけ

特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別な介護を必要とする20歳以上の方に支給されます。制度上「精神の障害」も対象に含まれており、精神障害だから対象外というわけではありません。ただし「著しく重度」という点が重要で、認定基準は障害年金よりさらに厳格です。目安は「障害年金1級程度の障害が重複している」あるいは「同等以上に日常生活すべてで介助が必要な状態」です。

精神障害で認定される状態像とは

精神障害の場合、食事・着替え・用便・外出時の危険回避などが一人ではほとんどできない状態が認定の目安です。単に診断を受けているだけでなく、日常生活動作のほぼすべてで他者の介助なしには生活が成り立たない極めて重い状態が前提となります。

発達障害(ASD・ADHD)単独での認定が難しい理由

発達障害のみで認定を受けることは現実的に非常に困難です。コミュニケーションの困難さや感覚過敏などの特性だけでは「常時特別な介護が必要」とは認定されにくいのが実情です。

「精神障害2級で手当をもらえますか?」というご質問をよくいただきますが、2級単独の症状では受給基準を満たすのは難しく、他の障害が重複しているなど極めて重度な介護状態にあることが求められます。

社会保険労務士

重複障害で認定される可能性

精神障害や発達障害の方が対象になる最も現実的なケースが、他の障害との重複です。たとえば以下のような組み合わせが考えられます。

  • 精神障害+知的障害:重度の精神障害に加え重度の知的障害がある場合
  • 精神障害+身体障害:統合失調症などに加え身体障害者手帳1〜2級程度の身体障害がある場合
  • 発達障害+知的障害+てんかん:重度の知的障害と頻繁なてんかん発作が重なり常時介護が必要な場合

一つの障害だけでは基準に満たなくても、複数の障害が重なることで「常時特別な介護が必要」と認定されるケースは十分にあり得ます。

精神障害者保健福祉手帳の等級との関係

手当の認定は手帳の等級とは別の基準で行われます。精神障害者保健福祉手帳1級でも自動的に手当が支給されるわけではなく、最終的には専用の認定診断書の内容で判断されます。障害者手帳を持っていなくても申請自体は可能ですが、「著しく重度の障害」の状態を客観的に証明する必要があります。

申請前に確認すべき3つのポイント

特別障害者手当申請の確認事項

精神障害や発達障害をお持ちの方が申請を検討する際は、以下の3点を事前に確認しましょう。

  1. 日常生活の基本動作のほぼすべてにおいて介助が必要な状態か客観的に振り返る
  2. 精神障害に加え、知的障害や身体障害、内部疾患を併せ持っていないか確認する
  3. 特別障害者手当の診断書は障害年金とは別の用紙で「介護の必要性」が重視されるため、主治医に日常生活の困難さを具体的に伝える

自分が対象かどうか分からない場合は、自治体の障害福祉課に問い合わせましょう。精神・発達障害でも諦めず、まずは窓口で相談することが大切な第一歩です。

特別障害者手当とは?制度の基本をわかりやすく解説

ここからは、特別障害者手当の全体像を整理します。「どんな制度なのか」「いくらもらえるのか」「いつ振り込まれるのか」といった基本情報を押さえておきましょう。

特別障害者手当の目的と概要

特別障害者手当とは、身体もしくは精神に重度の障害がある方の経済的・精神的な負担を軽減する目的で国から支給される手当です。精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別な介護を必要とする20歳以上の方が対象で、原則として在宅で生活していることが支給の条件です。障害年金が国(日本年金機構)管轄の「保険制度」であるのに対し、特別障害者手当は市区町村が管轄する「福祉制度」で、保険料の納付要件がない点が大きな違いです。

支給金額は月額30,450円(令和8年度)

令和8年度の支給額は月額30,450円で、年額に換算すると約365,400円です。金額は物価の変動により随時見直されるため、申請時は最新の金額を厚生労働省の公式サイトや自治体窓口で確認しましょう。

支給日と支給スケジュール

支給月は年4回(2月・5月・8月・11月)で、各月に前月分までの額がまとめて指定口座に振り込まれます。基本的には支給月の10日に振込されますが、土日祝日の場合は直前の平日に支払われます。認定されると申請月の翌月分から支給対象となるため、早めの申請が重要です。

障害者手帳がなくても申請できる?

障害者手帳を持っていなくても申請は可能です。手当の認定は手帳の等級とは別の基準で行われ、医師の診断書の内容をもとに審査されます。ただし手帳がない場合は診断書の記載がより重要になり、「著しく重度の障害」の状態を客観的に証明する必要があります。

障害者手帳を持っていない場合でも申請は可能ですが、その分、医師が作成する認定診断書の記載内容が審査において決定的に重要になります。まずはお住まいの自治体の窓口で相談してみてください。

障害福祉の専門家

障害年金との併給は可能

「障害年金をもらっているから手当はもらえない」と思い込んでいる方が非常に多いですが、これは間違いです。障害年金と特別障害者手当は制度の目的が異なるため、要件を満たせば両方を同時に受給できます。障害年金を受給中の方も、ぜひ一度対象になるか確認してみてください。

特別障害者手当の対象者と認定基準

特別障害者手当は障害のある方全員に支給されるわけではありません。制度が想定しているのは「著しく重度の障害があり、常時特別な介護を必要とする方」であり、認定基準は非常に厳格です。

対象となる方の基本要件

特別障害者手当の対象となるには、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 申請日現在で20歳以上であること
  • 精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別な介護を必要とする状態であること
  • 障害者支援施設や特別養護老人ホームなどに入所していないこと
  • 病院等に3ヶ月以上継続して入院していないこと
  • 本人・配偶者・扶養義務者の所得が定められた基準額以下であること

最も重要なのは障害の程度で、目安は「身体障害者手帳1級または2級相当の障害が2つ以上重複しているか、それと同等以上に重い状態」です。

障害の種類別の認定基準

身体障害の場合、両眼の視力がそれぞれ0.03以下、両耳の聴力が100デシベル以上、両上肢・両下肢の機能に著しい障害があるなど、1級・2級相当の異なる障害が重複している状態が該当します。

知的障害の場合、手帳の等級や知能指数だけでなく日常場面での援助の必要性を総合的に判断されます。知能指数の目安はおおむね20以下程度で、最重度の知的障害に相当します。

精神障害・内部疾患の場合、食事・着替え・用便・外出時の危険回避などが一人ではほとんどできない状態が対象です。身体障害の最重度と同等レベルの生活困難度が求められます。

「重複障害」で認定されるケースとは

単一の障害では基準に満たなくても、複数の障害が重なることで認定されるケースがあります。たとえば視覚障害と下肢機能障害の重複、身体障害と重度知的障害の重複、知的障害と精神障害の重複などが該当し得ます。複数の障害をお持ちの方はすべてを漏れなく診断書に記載してもらうことが大切です。

対象外となるケース

障害の程度が基準を満たしていても、以下に該当する場合は受給できません。

  • 障害者支援施設などに入所している場合(通所やショートステイ、有料老人ホームは除く)
  • 3ヶ月を超えて継続入院している場合(退院後は再申請可能)
  • 20歳未満の場合(別途「障害児福祉手当」の制度あり)
  • 日本国内に住所を持っていない場合

対象かどうか分からない場合は、自治体の障害福祉課に問い合わせてみましょう。

特別障害者手当の申請方法と手続きの流れ

特別障害者手当は自動的に支給されるものではなく、本人または家族による申請が必要です。ここでは申請から受給開始までの具体的なステップを解説します。

申請先は市区町村の障害福祉課

申請窓口はお住まいの市区町村の障害福祉担当課です。障害年金のように年金事務所へ行く必要はありません。まずは電話で窓口に問い合わせ、必要書類や手続きの流れを事前に確認しておくとスムーズです。

申請から支給開始までの流れ

  1. 市区町村の障害福祉担当窓口に連絡し、対象となりうるか相談する
  2. 認定診断書の作成を主治医に依頼し、その他の必要書類を揃える
  3. 窓口にて必要書類一式を提出する
  4. 市区町村が診断書や所得状況をもとに審査(通常2〜3ヶ月程度)
  5. 認定結果が書面で届く
  6. 認定された場合、申請月の翌月分から支給開始

申請が遅れた分だけ受給開始も遅れるため、対象になりそうな方は早めに行動しましょう。

申請に必要な主な書類

一般的に必要となる書類は以下の通りです。自治体により異なる場合があるため、必ず窓口で確認してください。

  • 特別障害者手当認定請求書
  • 特別障害者手当認定診断書(所定の様式)
  • 所得状況届・同意書
  • 障害者手帳(所持している場合)
  • 戸籍謄本または抄本
  • 年金証書(受給中の場合)
  • 本人名義の預金通帳の写し
  • マイナンバーが確認できる書類

認定診断書が審査の鍵

最も重要なのが認定診断書です。この診断書は障害年金の診断書とは別の用紙で、「介護の必要性」の視点で記載する必要があります。日常生活の困難さを事前にメモにまとめて主治医に渡し、実態に即した記載を依頼しましょう。

認定後の「現況届」と不支給時の対応

支給開始後も毎年8月に「現況届」の提出が必要です。提出しないと8月分以降の手当が停止されるため注意してください。また不支給となった場合は、3ヶ月以内に審査請求(不服申し立て)が可能です。障害福祉に詳しい社会保険労務士や行政書士に相談するのも有効な手段です。

障害年金や他の制度との違い・併給はできる?

特別障害者手当の申請を検討する際、「すでに受け取っている障害年金や他の制度と同時にもらえるのか?」という疑問を持つ方は多いです。ここでは関連する制度との違いと併給の可否を整理します。

障害年金との併給は可能

「障害年金をもらっているから手当はもらえない」と勘違いしている方が非常に多いですが、これは間違いです。障害年金は国(日本年金機構)管轄の保険制度、特別障害者手当は市区町村管轄の福祉制度であり、制度の目的が異なるため両方を同時に受給できます。障害年金を受給していても手当の支給額には影響しません。

特別障害給付金との違い

名前が似ている「特別障害給付金」は、過去の年金制度の影響で障害基礎年金を受給できない方への救済制度であり、特別障害者手当とは対象者も趣旨もまったく異なります。特別障害給付金は障害年金との併給が不可ですが、特別障害者手当との併給は可能です。

障害児福祉手当との関係

20歳未満対象の「障害児福祉手当」と特別障害者手当の同時受給はできません。20歳到達時に要件を満たしていれば切り替え手続きが必要です。特別障害者手当の認定基準はより厳格なため、自動的に移行できるわけではなく、新たに認定診断書を作成する必要があります。

生活保護との関係

生活保護との併給自体は可能ですが、手当の金額は「収入」として認定されるため、その分だけ生活保護費が減額されます。手取りの総額が増えるわけではない点に注意が必要です。生活保護受給中の方は担当ケースワーカーに事前に相談しましょう。

併給関係の早わかりまとめ

制度名 併給 備考
障害基礎年金・障害厚生年金 手当の金額にも影響なし
特別障害給付金 それぞれ別の要件を満たす場合
障害児福祉手当 × 20歳到達時に切り替え手続きが必要
生活保護 併給可能だが手当分は収入認定される
傷病手当金・労災保険 制度が独立しており併給可能

個別の状況により取り扱いが異なる場合があるため、複数の制度を利用中の方は市区町村の窓口や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

特別障害者手当以外に活用できる経済的支援制度

特別障害者手当のほかにも、障害のある方が利用できる経済的支援は複数あります。目的や対象者が異なるため、併用できる制度がないか確認しましょう。

障害年金

障害により生活や仕事に支障が出ている方へ支給される年金です。原則20歳〜64歳が対象で、障害者手帳の有無は問われません。特別障害者手当との併給も可能です。詳しくは市区町村の窓口や年金事務所に問い合わせましょう。

自立支援医療制度(精神通院医療)

精神疾患の通院治療にかかる医療費の自己負担を3割から原則1割に軽減する制度です。統合失調症、うつ病、発達障害、てんかんなどが対象で、通院が長期にわたる方にとって家計への効果は大きいです。指定医療機関での治療が条件となります。

生活保護

経済的に困窮している方の最低限度の生活を保障する制度です。障害年金を受給していても収入が一定額に満たなければ対象となる場合があります。特別障害者手当との併給は可能ですが、手当分は収入認定され保護費が減額されます。

傷病手当金

業務外の病気やケガで休職中の健康保険被保険者に支給されます。支給額は休職前の給料の約3分の2で、期間は通算1年6ヶ月間です。国民健康保険には原則この制度がないため、加入先の保険を確認しましょう。

障害者手帳による税控除・各種割引

障害者手帳を取得すると、所得税・住民税の障害者控除、交通機関の運賃割引、NHK受信料の減免、携帯電話料金の割引などが利用できます。一つひとつの金額は小さくても、すべて活用すれば年間で数万円以上の負担軽減になる場合もあります。対象は自治体により異なるため窓口で確認してください。

障害のある方の経済的支援は一つの制度だけでは十分とは言えません。自分に該当する制度を漏れなく活用することが生活の安定につながります。どの制度が使えるか分からない場合は、市区町村の障害福祉課や社会保険労務士に相談してみましょう。

知っておくべき「申請の壁」と突破するためのポイント

特別障害者手当は大きな経済的支えとなる制度ですが、認定を受けるまでにはいくつもの壁があります。ここでは多くの方がつまずきやすいポイントと突破策を解説します。

壁①|制度の認知度が低く案内されない

最初の壁は制度の存在自体を知らないことです。障害年金や手帳と比べて知名度が低く、窓口でも積極的に案内されるとは限りません。「障害年金をもらっているから対象外」と思い込んでいる方も多いですが、両方の同時受給は可能です。自分から障害福祉課に問い合わせることが重要です。

壁②|診断書の記載内容が合否を左右する

審査結果を最も左右するのが認定診断書です。この診断書は障害年金とは別の用紙で、「介護の必要性」の視点での記載が求められます。日常生活の困難さをメモにまとめて主治医に渡し、食事・排泄・入浴・外出などの場面でどの程度介助が必要かを具体的に伝えましょう。家族やヘルパーから医師に状態を説明してもらうことも有効です。

壁③|所得制限で支給停止になる

本人だけでなく配偶者や扶養義務者の所得も審査対象です。本人の収入が少なくても同居家族の所得が高い場合は支給停止になり得ます。ただし各種控除を差し引いた後の金額で判断されるため、「収入が高いから無理」と即断せず正確な所得額を窓口で確認しましょう。

壁④|審査が厳しく不支給になる

認定基準は障害年金よりさらに厳格です。不支給の主な原因は、診断書に日常生活の困難さが十分に記載されていない、精神障害単独で「常時介護が必要」と判断されない、所得制限を超えているなどです。特に精神・発達障害は「目に見えにくい」ため診断書が不十分になりやすい傾向があります。

いずれの壁も事前の準備と正しい知識があれば乗り越えられます。困ったときは障害福祉に詳しい社会保険労務士や行政書士への相談も検討しましょう。「どうせ対象外だろう」と諦めず一歩を踏み出すことが最大のポイントです。

まとめ|精神・発達障害でも諦めずに申請を検討しよう

特別障害者手当は、著しく重度の障害があり常時特別な介護を必要とする方に月額30,450円(令和8年度)が支給される制度です。精神障害や発達障害も制度上は対象に含まれており、他の障害との重複がある場合は認定の可能性が高まります。障害年金との併給も可能です。

認定の鍵を握るのは認定診断書の記載内容です。主治医に日常生活の困難さを具体的に伝え、介護の必要性が正確に反映された診断書を作成してもらいましょう。

「自分は対象かもしれない」と少しでも思った方は、まずお住まいの市区町村の障害福祉課に相談してみてください。諦めずに一歩を踏み出すことが生活の安定への第一歩です。

出典: