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【わかりやすく解説】強度行動障害とは?定義や判定基準(行動関連項目)と利用できる支援制度

【わかりやすく解説】強度行動障害とは?定義や判定基準(行動関連項目)と利用できる支援制度

著者: フラカラ編集部

監修: 中村 啓吾

このコラムのまとめ

強度行動障害とは、自傷や他害などの行動が高い頻度で起こり特別な支援が必要な状態です。本記事では、強度行動障害の定義や行動関連項目による判定基準、背景にある原因、対応のポイントを解説。行動援護や生活介護などの利用できる福祉サービスや相談先、サービス利用までの流れもわかりやすく紹介します。

強度行動障害とは?定義と概要

強度行動障害という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような状態を指すのか分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、強度行動障害の定義や基本的な考え方をわかりやすく解説します。

強度行動障害_3つの基本概念

強度行動障害の定義

強度行動障害とは、自分を傷つける「自傷」や他の人やものを傷つける「他害」、「睡眠の乱れ」「異食」「ものを壊す」など、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動を著しく高い頻度で起こすため、特別に配慮された支援が必要な状態を言います。

具体的には以下の特徴があります。

  • 本人の生活上の困難が大きい
  • 家族や支援者への負担が大きい
  • 専門的な支援や環境調整が必要

強度行動障害は「診断名」ではなく「状態像」

強度行動障害は医学的な診断名ではなく、行政・福祉において必要な支援を判断するために使用されている用語です。病院で「強度行動障害」と診断されるものではなく、福祉サービスの利用可否を判断するための「状態像」を表す行政用語です。

強度行動障害は「病名」ではなく「状態」を表す言葉です。適切な支援や環境調整により、状態が改善するケースも少なくありません。

福祉の専門家

強度行動障害の背景にある障害特性

知的障害知的発達症)やASD自閉スペクトラム症)を持つ方に多く見られますが、発達特性や環境要因によって幅広い人に表れる可能性があります。強度行動障害の行動は生まれつきのものではなく、本人の特性と周囲の環境とのミスマッチによって現れるとされています。

強度行動障害が現れやすい年齢

思春期以降に自傷や他傷、破壊行動などが激しくなり、高校を卒業する年代以降に落ち着いてくる傾向があると言われています。ただし、年齢とともに自然に収まるのを待つのではなく、幼少期からの早期支援が重要です。

強度行動障害の判定基準(行動関連項目)とは

強度行動障害に該当するかどうかは、障害支援区分認定調査で用いられる「行動関連項目」という12項目の評価指標によって判定されます。

行動関連項目の評価方法

行動関連項目は、市区町村の認定調査員が本人や家族への聞き取り・観察をもとに評価します。各項目を0点・1点・2点の3段階で採点し、合計点数で支援の必要度が判定されます。12項目にはコミュニケーション、説明の理解、大声・奇声、異食行動、多動・行動停止、不安定な行動、自傷行為、他害行為、不適切な行為、突発的な行動、過食・反すう等、てんかんが含まれます。

合計10点以上で該当

障害支援区分が「3」以上で、行動関連項目の合計点数が10点以上の場合、行動援護などの福祉サービスの利用対象となります。

10点に満たなくても日常生活で大きな困難を抱えている方は少なくありません。まずはお住まいの自治体の障害福祉窓口に相談してみてください。

相談支援専門員

強度行動障害のある方への対応で大切なこと

強度行動障害のある方への対応では、力で抑え込むのではなく、行動の背景を理解し環境や関わり方を整えていくことが重要です。

誤った対応は行動障害を悪化させる

叩いたり噛みついたりする行動に対して叩き返す、身体でわからせるなどの対応は虐待行為です。自傷行動も力ずくで抑えるだけでは上手くいかず、かえって行動障害が悪化する可能性があります。

行動の背景を理解する

強度行動障害の行動には本人なりの理由があります。「いつ・どのような状況で起きるのか」「体調面の変化はないか」といった視点で観察し、背景を丁寧に読み取ることが適切な対応への第一歩です。

環境調整とコミュニケーションの工夫

厚生労働省は、強度行動障害のある方が落ち着いて過ごすための要件として「安定して通える日中活動」「居住内の物理的構造化」「ひとりで過ごせる活動」「確固としたスケジュール」「移動手段の確保」の5つの原則を示しています。あわせて絵カードやジェスチャーなど、本人に合ったコミュニケーション手段を見つけることも行動の安定につながります。

対応は家族だけで抱え込まず、障害福祉サービスショートステイなどを活用しながら、家族自身のレスパイトケアも大切にしてください。

社会福祉士

強度行動障害のある方が利用できる支援制度・サービス

強度行動障害のある方は、障害者総合支援法に基づくさまざまな障害福祉サービスを利用できます。状態や生活環境に合わせて組み合わせながら活用しましょう。

在宅で受けられる主な支援

  • 行動援護:行動に伴う危険の回避や外出時の介護を提供。障害支援区分3以上かつ行動関連項目10点以上が利用条件
  • 重度訪問介護:自宅での入浴・排泄・食事の介護や外出時の移動介護を総合的に提供
  • 重度障害者等包括支援:居宅介護や行動援護など複数のサービスを包括的に提供

施設・通所で受けられる主な支援

  • 生活介護:日中の入浴・食事の介護や創作活動・生産活動の機会を提供
  • 施設入所支援:主に夜間の入浴・排泄・食事などの介護を提供
  • 短期入所(ショートステイ):一時的に施設で介護や支援を提供。家族のレスパイトケアにも活用可能
  • 共同生活援助(グループホーム:地域での共同生活における日常生活の支援を提供

児童向けの支援サービス

未就学児には児童発達支援、就学児には放課後等デイサービスがあります。早い段階から専門的なサポートを受けることで、行動障害の予防や軽減につながります。

強度行動障害に関する相談先

強度行動障害について「どこに相談すればいいかわからない」と悩む方は少なくありません。状況に合った窓口を選びましょう。

市区町村の障害福祉窓口

何から始めればよいかわからない場合は、まずお住まいの自治体の障害福祉窓口に問い合わせましょう。困りごとに合った相談支援事業所や専門機関を紹介してもらえます。

相談支援事業所

障害のある方の地域生活を支える専門機関です。困りごとのヒアリングから福祉サービスの提案、サービス等利用計画の作成、支援機関との連絡調整、定期的な見直しまで一貫して対応してくれます。

発達障害者支援センター

都道府県・指定都市ごとに設置されている専門機関です。発達特性について専門的なアドバイスを受けたい場合に適しています。

医療機関

自傷や他害が激しい場合や医療的対応が必要な場合は、精神科や小児神経科に相談できます。予約から初診まで数か月かかることもあるため、早めの予約がおすすめです。

教育機関の相談窓口

学校での対応に困った場合は、特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーに相談できます。

障害福祉サービスを利用するまでの流れ

強度行動障害のある方が障害福祉サービスを利用するには「受給者証」の取得が必要です。医学的な診断や障害者手帳がなくても、受給者証があればサービスを利用できます。

サービス利用までの5つのステップ

①相談・申請

お住まいの自治体の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談し、利用意思が固まったら窓口で申請します。日頃の行動の記録を持参すると手続きがスムーズです。

②障害支援区分の認定調査

自治体の認定調査員が聞き取りや観察を行い、支援の必要度を区分1〜6の6段階で判定します。行動関連項目の評価もここで行われます。

③サービス等利用計画案の作成・提出

本人や家族の意向を踏まえた計画案を相談支援専門員が作成し、自治体へ提出します。

④受給者証の交付

審査を経て利用が認められると、サービスの種類や量が記載された受給者証が交付されます。

⑤サービス利用開始

事業所と契約しサービスを開始します。申請から交付まで1〜2か月程度かかるため、早めの相談をおすすめします。

強度行動障害に見られる具体的な行動

強度行動障害のある方には、日常生活に大きな支障をきたすほど強い行動が見られます。厚生労働省の報告書をもとに、具体的な行動を紹介します。

自傷行為

頭部が変形するほど激しく叩く、つめをはぐなど、本人の健康を著しく損ねる行為です。

他害・ものを壊す行為

噛みつき、蹴り、頭突きなど相手が怪我をしかねない行動や、ガラスや家具を壊す、服を破るなど周囲への危害が大きい行動です。

激しいこだわり

どうしても服を脱ぐ、外出を拒みとおすなど、止めても止めきれないほど強い行動です。

多動・パニック

落ち着いて座れない、急に走り出す、突然の興奮やパニックが見られます。

睡眠・食事・排泄の障害

昼夜逆転や異食、便をなすりつけるなどの行動も含まれます。

これらの行動は「困った行動」ではなく「本人が困っている状態」です。行動の背景を理解することが支援の出発点になります。

臨床心理士

強度行動障害の原因・背景にある要因

強度行動障害の行動は生まれつきのものではなく、本人の特性と周囲の環境とのミスマッチによって現れるとされています。主な要因を紹介します。

コミュニケーションの困難

欲求や不快感を言葉で伝えられないために、自傷や他害といった行動で表現してしまうことがあります。

感覚の特性

音や光に強く反応する感覚過敏や、痛みに鈍く強い刺激を求める感覚鈍麻が行動の背景となることがあります。

こだわりの特性

特定の活動への没頭や、臨機応変な対応の苦手さから、予定変更時にパニックや激しい抵抗につながることがあります。

環境の変化・身体的不調

進学や担当者の交代などの変化、虫歯や便秘などの体調不良も行動悪化の要因となります。

これらの原因は単独ではなく複数が重なって現れることが多いため、さまざまな角度から総合的にアセスメントすることが大切です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 強度行動障害は診断名ですか?

医学的な診断名ではなく、行政・福祉において必要な支援を判断するための「状態像」を表す用語です。

Q2. 強度行動障害は治りますか?

「治る・治らない」という概念とは異なりますが、適切な環境調整や支援により行動が落ち着き、生活の質が向上するケースは多く見られます。

Q3. 判定基準は何ですか?

障害支援区分3以上で、行動関連項目(12項目)の合計点数が10点以上の場合、行動援護などの福祉サービスの利用対象となります。

Q4. 障害者手帳がなくても支援を受けられますか?

受給者証があれば手帳がなくてもサービスを利用できます。まずは市区町村の障害福祉窓口に相談してみてください。

まとめ

強度行動障害とは、自傷や他害、睡眠の乱れなどの行動が著しく高い頻度で起こり、特別な支援が必要な状態です。医学的な診断名ではなく、福祉サービスの利用可否を判断するための行政用語であり、行動関連項目(12項目)の合計点数が10点以上で行動援護などの支援対象となります。

行動の背景には、コミュニケーションの困難や感覚の特性、環境とのミスマッチなど複数の要因が重なっています。力で抑え込む対応は逆効果であり、環境調整やコミュニケーション支援を通じて行動の安定を目指すことが大切です。

家族だけで抱え込まず、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみてください。適切な支援につながることで、本人も家族もより安心できる生活を築いていくことができるでしょう。