就労移行支援 vs 就労継続支援A型|今の自分はどちらに行くべき?判断基準チャート
著者: フラカラ編集部
このコラムのまとめ
就労移行支援と就労継続支援A型の違いをYES/NOチャートと5つの判断基準でわかりやすく解説。目的・賃金・利用期間・対象者の比較や、よくある迷いパターン別の選択例も紹介。「今の自分にはどちらが合う?」を具体的にイメージできる内容です。迷ったときの相談先や利用開始までの流れも解説しています。
【結論】30秒でわかるYES/NO判断基準チャート
「就労移行支援と就労継続支援A型、今の自分にはどちらが合っているんだろう?」と迷っている方は、まず以下のYES/NOチャートで方向性をチェックしてみましょう。
就労移行支援は「一般就職を目指す人向け」の支援であるのに対し、就労継続支援A型は「今の自分に合ったペースで働きたい人向け」の支援という違いがあります。この基本的な違いをもとに、たった3つの質問であなたに合ったサービスの方向性がわかります。まずは気軽にチェックしてみてください。
3つの質問でわかる!YES/NO判断チャート
以下の質問に「YES」か「NO」で答えてみてください。
【質問1】一般企業への就職を目指していますか?
→ NOの場合:就労継続支援A型がおすすめです。
就労継続支援A型は、一般企業での就労が難しい方に対して、雇用契約を結んだうえで長期的に働ける環境を提供するサービスです。支援を受けながら安定して働きたい方に向いています。
→ YESの場合:質問2へ進みましょう。
【質問2】利用期間中(最長2年間)、収入がなくても生活できますか?
就労移行支援では基本的に給料が発生せず、アルバイトなども原則禁止されています。就職が決まるまでの一定期間は収入がない状態が続きますので、経済面の見通しは重要な判断ポイントです。
→ NOの場合:就労継続支援A型がおすすめです。
雇用契約を結んで働くため、各地域の最低賃金が保障された賃金を得ることができます。
→ YESの場合:質問3へ進みましょう。
【質問3】体調は安定しており、週4〜5日の通所がイメージできますか?
優れたスキルを持っていたとしても、体調をすぐに崩してしまったり、早退や欠勤を繰り返す状態では、長く働き続けることが難しくなります。
→ NOの場合:就労継続支援A型がおすすめです。
自分の体調やスキル、適性などに応じて仕事内容や量を調整してもらえるため、無理なく安心して働くことができます。
→ YESの場合:就労移行支援がおすすめです。
一般企業での就職を目指す方をサポートするサービスで、個々の能力に応じた訓練や就職活動のサポートを受けることができます。
診断結果のまとめ
チャートの結果を簡単にまとめると、以下のようになります。自分がどの結果に当てはまったかを確認してみましょう。
| 診断結果 | あなたのタイプ | おすすめサービス |
|---|---|---|
| 3つすべてYES | 一般就職に向けてしっかり準備したい | 就労移行支援 |
| 質問1でNO | 支援を受けながら安定的に働きたい | 就労継続支援A型 |
| 質問2でNO | 収入を得ながらスキルアップしたい | 就労継続支援A型 |
| 質問3でNO | まずは体調を整えながら働く経験を積みたい | 就労継続支援A型 |
就労支援員
ここからは、それぞれのサービスの違いや判断基準をさらに詳しく解説していきます。「本当に自分に合っているのか」をじっくり確認したい方は、ぜひこのまま読み進めてみてください。
【自己診断】5つの判断基準で自分に合うサービスを見極める
先ほどのYES/NOチャートで大まかな方向性が見えたら、次はもう少し掘り下げて考えてみましょう。ここでは、就労移行支援と就労継続支援A型のどちらが自分に合っているかを判断するための5つの基準をご紹介します。それぞれの基準について「自分はどうだろう?」と振り返りながら読み進めてみてください。
判断基準①|今の体調は週4〜5日通えるほど安定しているか
就労移行支援は、週4〜5日の通所を目標とし企業で働く予行演習を行います。一方、就労継続支援A型では体調やスキルに応じて仕事内容や量を調整してもらえるため、体調に波がある方でも安心して働けます。
判断基準②|一般企業への就職を明確なゴールにしているか
就労移行支援の利用者は約半数が一般就労に移行しているのに対し、就労継続支援A型では約1/4にとどまります。一般企業への就職を強く希望するなら、就職に特化した支援が充実している就労移行支援が近道といえるでしょう。
判断基準③|利用期間中に収入がなくても生活できるか
就労移行支援では原則として賃金が発生せず、アルバイトも原則禁止です。一方、就労継続支援A型では最低賃金以上の給与が保障され、令和6年度の平均賃金は91,451円です。収入がゼロになるのが厳しい場合は、A型が現実的な選択肢になります。
判断基準④|2年以内に就職できるイメージがあるか
就労移行支援の利用期間は原則2年間で、延長も最大1年のみです。一方、就労継続支援A型には利用期間の制限がありません。「2年以内に就職できそうか」が判断材料のひとつになります。
判断基準⑤|今の自分に必要なのはスキル習得か実務経験か
就労移行支援ではビジネスマナーやPCスキル、面接対策など就職準備に特化したプログラムが豊富です。就労継続支援A型では実際の業務を通じてスキルや自信を身につけていきます。今の自分に足りないものが「知識・スキル」なのか「実務経験」なのかという視点で考えてみましょう。
5つの基準を振り返ってみよう
すべての基準がどちらか一方に当てはまる必要はありません。迷った場合は、次のセクションでそれぞれのサービスに向いている人の特徴をさらに詳しく確認していきましょう。
こんな人は就労移行支援がおすすめ
ここまでの判断基準を踏まえて、就労移行支援が向いている人の特徴をさらに具体的に見ていきましょう。以下の特徴に当てはまる方は、就労移行支援の利用を前向きに検討してみてください。
一般企業への就職を強く希望している人
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す人に向いている支援です。履歴書の書き方や面接の練習、ビジネスマナーの習得など、企業で求められるスキルを身につける職業訓練や就職活動のサポートを重点的に受けることができます。実際に、就労移行支援の利用者は約半数が一般就労に移行しており、就職を明確な目標としている方にとって最も近道となるサービスといえます。
体調が安定してきて次のステップに進みたい人
就労移行支援は、週4〜5日の通所を目標とし企業で働く予行演習を行います。そのため、ある程度体調が安定していることが前提となります。ただし「完璧に安定していないとダメ」というわけではありません。事業所では体調や生活リズムの安定を目指すプログラムも提供されており、最初は週2〜3日から始めて段階的に日数を増やしていくことも可能です。
しっかりと準備をしてから就職・転職したい人
就労移行支援の通所期間は最大2年間あります。事業所では、その人に合わせた個別の支援計画に沿って、これまでの経験をスタッフと一緒に分析したり、さまざまな職場での見学や実習を経験したりしながら、自分に合った業務や職場環境を探すことができます。じっくりと時間をかけて十分な準備を整えた上で就職したいと考える人に向いています。
就労支援員
こんな人は就労継続支援A型がおすすめ
続いて、就労継続支援A型が向いている人の特徴を具体的に見ていきましょう。以下の特徴に当てはまる方は、就労継続支援A型の利用を検討してみてください。
支援を受けながら安心して働きたい人
障害による困りごとや体調により、現状では一般企業で働くことが難しくても、サポートを受けながら働けることはA型の大きなメリットです。自分の体調やスキル、適性などを考慮しながら仕事内容や量を調整してもらえるため、体調に波がある方や急な変化が苦手な方でも安心して仕事に取り組める環境が整っています。
収入を得ながらスキルアップしたい人
就労継続支援A型では雇用契約を結んで働くため、各地域の最低賃金以上の賃金が保障されます。令和6年度の平均賃金は91,451円です。就労移行支援では原則として給料が発生しないため、利用期間中の収入がゼロになるのが厳しいという方にとって、A型は収入を確保しながらスキルを磨ける現実的な選択肢になります。
実際に働く経験を積んで自信をつけたい人
就労継続支援A型は、就労移行支援と比べ「働く場所」という側面が強いのが特徴です。データ入力やカフェのホールスタッフ、商品の包装、清掃など、さまざまな仕事に取り組みながら知識や能力の向上を目指せます。決められた時間に働き経験を積み重ねることで、仕事のスキルやコミュニケーション力が自然と身についていきます。
就労支援員
よくある迷いパターン別|先輩たちはどう選んだ?
判断基準やチェックリストを見ても「自分の場合はどうなんだろう?」とまだ迷っている方もいるかもしれません。ここでは、よくある迷いのパターンごとに、どのような選択をしたのかをご紹介します。
「働きたいけどブランクが長い」→ 就労移行支援から始めたケース
前職を退職してから約3年のブランクがあったAさん。一般企業で働きたいという明確な目標があり、体調も安定してきていました。障害年金で生活費も確保できたため、就労移行支援を選択。個別の支援計画に沿ってPCスキルの習得や職場実習に取り組み、約1年半で事務職への就職が決まりました。
「収入がないと生活が厳しい」→ A型で働きながら準備したケース
一人暮らしのBさんは、いずれ一般企業で働きたいと考えていましたが、障害年金を受給しておらず貯蓄も限られていました。就労継続支援A型でデータ入力の仕事を担当し、最低賃金以上の収入を得ながら生活を安定させつつ、仕事のリズムやスキルを着実に身につけていきました。
「A型から就労移行支援に切り替えた」ステップアップのケース
病気の発症後、長期間働いていなかったCさん。最初は自信が持てず就労継続支援A型からスタートしました。約2年間A型で働くうちに体調が安定し「一般企業でもやれるかもしれない」と感じるように。就労移行支援に切り替え、履歴書作成や面接対策の支援を受けて約10か月で一般企業への就職が決まりました。
就労支援員
そもそも就労移行支援と就労継続支援A型とは?基本をおさらい
ここまで判断基準や具体的なケースをもとに「自分にはどちらが合いそうか」を考えてきました。ここからは、改めてそれぞれの制度の基本を整理しておきましょう。
就労移行支援と就労継続支援A型は、どちらも障害者総合支援法による就労系の障害福祉サービスです。簡単にお伝えすると、就労移行支援は「働くために必要な就労スキルを学ぶための支援」で、就労継続支援A型は「実際に働く場所を提供する支援」となります。
就労移行支援とは|一般企業への就職を目指す訓練サービス
就労移行支援は、一般企業への就労を目指す障害のある方が就職するためのサポートを受けられる場所です。基本的には「働く場」ではなく「訓練を行う場」として運営されています。対象は原則18歳〜65歳未満で一般就労を希望する方です。利用期間は原則2年間で、賃金は原則発生しません。ビジネスマナーやPCスキルの習得、面接対策、職場実習、就職後の定着支援など、就職に向けた一貫したサポートが受けられます。
就労継続支援A型とは|雇用契約を結んで働く福祉サービス
就労継続支援A型は、一般企業での就労が難しい障害のある方がA型事業所と雇用契約を結び、支援を受けながら働ける場所です。基本的には「働く場」という側面が強いのが特徴です。対象は原則18歳〜65歳未満で、利用期間に制限はありません。雇用契約があるため最低賃金以上の給料が保障され、令和6年度の平均賃金は91,451円です。データ入力やカフェスタッフ、清掃など仕事内容はさまざまで、働きながらスキルを身につけ一般就労への移行も目指せます。
就労移行支援と就労継続支援A型の違いを一覧比較
ここまで見てきた両サービスの違いを、項目ごとに一覧で比較してみましょう。ひと目で全体像を把握できるように整理しました。
比較一覧表で違いをチェック
| 比較項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 |
|---|---|---|
| 目的 | 一般企業への就職を目指す訓練 | 支援付きの就労の場を提供 |
| 位置づけ | 「訓練を行う場」 | 「働く場」 |
| 雇用契約 | なし | あり |
| 賃金 | 原則なし | 最低賃金以上(平均約91,451円/月) |
| 利用期間 | 原則2年間(最大1年延長あり) | 制限なし |
| 対象年齢 | 原則18歳〜65歳未満 | 原則18歳〜65歳未満 |
| 対象者 | 一般就労が可能と見込まれる方 | 支援があれば雇用契約に基づく就労が可能な方 |
| 支援内容 | 職業訓練・就活サポート・定着支援 | 就労機会の提供・スキル向上支援 |
| 一般就労への移行率 | 約53.4% | 約25% |
特に注目すべき3つの違い
比較表の中でも、サービス選びに直結する重要な違いは以下の3点です。
①目的の違い:就労移行支援は就職に向けたスキル習得や就活準備が中心です。就労継続支援A型は実際の業務に従事しながらスキルを高めていく「働く場」です。
②賃金の違い:就労移行支援は原則として賃金が発生しません。就労継続支援A型は雇用契約があるため最低賃金以上の給料が保障されます。利用期間中の生活費の見通しが立つかどうかは重要な判断ポイントです。
③利用期間の違い:就労移行支援は原則2年間という期限があります。就労継続支援A型には期限がないため、自分のペースでじっくり取り組めます。期限を決めて集中したいか、焦らず進めたいかで選択が変わってきます。
どちらが優れているということではなく、「今の自分にとってどちらがフィットするか」という視点で比較してみてください。
就労移行支援と就労継続支援A型は併用できる?
就労移行支援と就労継続支援A型の違いを理解すると、「両方のいいところを組み合わせて利用できたら」と感じる方もいるかもしれません。ここでは、併用の可否とサービス間の切り替えについて解説します。
原則として同時利用はできない
就労移行支援と就労継続支援を同時に利用することは原則できません。それぞれ目的や支援内容が異なるため、同じ期間に両方のサービスを受けることは認められていません。たとえば「午前はA型で働いて、午後は就労移行支援で就職準備をする」といった使い方はできないということです。
サービス間の切り替えは可能
同時利用はできませんが、状況の変化に応じてサービスを切り替えることは可能です。就労継続支援A型で就労に必要なスキルを身につけてから就労移行支援に変更したり、逆に就労移行支援から就労継続支援A型に変更するということもできます。
切り替え時の注意点として、就労移行支援の利用期間は通算で原則2年間となるため、一度利用した期間は差し引かれます。また、切り替えの際には受給者証の変更手続きが必要です。検討する際は、現在の事業所スタッフや主治医に相談してから進めましょう。
就労支援員
迷ったときの相談先と利用開始までの流れ
ここまで読んでも「まだ決められない」「専門家に相談したい」と感じる方もいるでしょう。ここでは、迷ったときに頼れる相談先と利用開始までの流れをご紹介します。
頼れる4つの相談先
①主治医:普段の様子をよく知っているため、体調面からどんな支援が合いそうか的確なアドバイスをもらえます。
②市区町村の障害福祉課:利用可能なサービスの案内や、通える範囲の事業所の情報提供、利用料の目安などを確認できます。
③相談支援事業所:専門の相談員が状況を丁寧に聞き取り、最適なサービスの提案やサービス等利用計画案の作成まで無料でサポートしてくれます。
④事業所の見学・体験:実際の雰囲気やスタッフの対応を自分の目で確かめられます。複数の事業所を比較するのがおすすめです。
利用開始までの5ステップ
利用したい事業所が見つかったら、以下の流れで手続きを進めます。
- 通える範囲の事業所を探す
- 事業所を見学・体験する
- 通所する事業所を決定する
- 市区町村の窓口で障害福祉サービス受給者証を申請する
- 事業所と契約を交わして利用開始
申請から受給者証の発行までは約2ヶ月かかることが多いため、「利用したい」と思ったら早めに動き始めることが大切です。
就労支援員
この記事で押さえておきたい重要なポイント
最後のまとめに入る前に、この記事で押さえておきたい重要なポイントを改めて整理しておきましょう。
ポイント①:YES/NOチャートで方向性をつかむ
冒頭の3つの質問で、就労移行支援と就労継続支援A型のどちらが自分に近いかを素早く確認できます。まずは大まかな方向性を把握することが第一歩です。
ポイント②:5つの判断基準で「自分ごと」として考える
体調の安定度、就職の目標、経済面、利用期間、必要なものという5つの基準を設け、自分自身の状況と照らし合わせながら考えられるようにしました。ご自身の適性や障害の現状、働きたい度合い、得たい収入など、総合的に判断することが大切です。
ポイント③:実際の選択パターンから学ぶ
「ブランクが長く就労移行支援を選んだケース」「収入確保のためA型を選んだケース」「A型から就労移行支援にステップアップしたケース」の3パターンをご紹介しました。どのケースにも共通するのは、今の自分の状況を正直に見つめたうえで選択しているということです。
ポイント④:最初の選択が最終決定ではない
就労移行支援と就労継続支援A型の同時利用は原則できませんが、状況の変化に応じた切り替えは可能です。この事実を知っておくだけで、最初の一歩を踏み出すハードルはぐっと下がるはずです。迷ったときは一人で悩まず、主治医や相談支援事業所など専門家の力を借りましょう。
まとめ|「今の自分」に合った選択が正解への第一歩
就労移行支援は「一般企業への就職を目指す訓練の場」、就労継続支援A型は「支援を受けながら働く場」です。どちらが優れているということではなく、今の自分の体調・目標・経済面に合った方を選ぶことが大切です。
同時利用は原則できませんが、状況に応じた切り替えはいつでも可能です。最初の選択が最終決定ではありません。
「働いてみたいけど不安がある」「どこから始めればいいかわからない」そんな気持ちがあっても大丈夫です。まずは主治医や相談支援事業所に相談したり、気になる事業所を見学してみることから始めてみましょう。その一歩が、あなたらしい働き方への第一歩になるはずです。
出典:


